公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.21解説

 問 題     

次は,大脳辺縁系(limbic system)に関する記述であるが,A,B,Cに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。なお,文中の □ については設問の都合上伏せてある。

大脳辺縁系は,大脳の内側面に間脳を環状に囲む形で位置し,図に示すような部位から成り,本能行動や情動行動に関与するとされている。

このうち, A は,記憶形成との関係が明らかにされている。脳弓を通じて, A と密接に連絡している乳頭体が,記憶障害を伴うコルサコフ症候群を示す患者の多くで損傷されていることから,パペッツ(Papez, J. W.)が情動回路として提唱した閉回路を記憶回路とみる見解も主張されている。

B には,各感覚連合野からの投射があるが,この部位は感覚情報の生物学的価値の評価に関与するとみられている。B を中心とした側頭葉前方内側部の損傷による認知障害や情動変化は,クリューヴァー=ビュシー症候群と呼ばれる。

また, C にも感覚情報が収束しているが,ここは動機づけの中枢と見られており,補足運動野を介しての運動前野,運動野との連絡によって,随意運動の発現に関与するとされている。

このように,大脳辺縁系は,大脳皮質で営まれる高次機能と,脳幹や □ で営まれる基本的な生命維持活動との間を連絡する機能を果たしている。

A B C
1.海馬 扁桃体 帯状回
2.海馬 扁桃体 視床下部
3.海馬 線条体 帯状回
4.脳梁 線条体 視床下部
5.脳梁 線条体 帯状回

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

A ですが
「記憶」というキーワードから「海馬」です。脳梁とは、左右の脳半球をつなぐ束の部分のことです。

B ですが
「情動」がキーワードです。「扁桃体」です。ちなみに「線条体」は、運動機能を司ります。

C ですが
「動機づけ」というキーワードから、少なくとも視床下部ではない、と考えられます。視床下部は様々な「本能行動」や「情動行動」の中枢機能を司っています。

以上より、正解は 1 です。

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