公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.8解説

 問 題     

遊びについての理論に関する記述 ア〜エ のうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア.グロース(Groos, K.)は,系統発生における子供の期間の延長と子供の遊びとの関連に注目し,遊びには何らかの進化上の適応価や生存価があると考え,将来の生活のための準備が遊びの中に用意されており,遊びによって将来の適応に必要な機能が発達するという生活準備説を提唱した。

イ.ビューラー(Bühler, C.)は,お話や絵本,音楽等を楽しむ受容遊び,木片を車に見立てるなど,物の本来の機能とは異なる機能で遊ぶ機能遊び,積み木などの材料で何かを作ったり絵を描いたりして遊ぶ構成遊び,現実を離れた想像による遊びである虚構遊び,の順に優位な遊びが移り変わると考えた。

ウ.パーテン(Parten, M. B.)は,社会的関係による視点から遊びを,①何にも専念していない行動,②傍観,③一人遊び,④平行(並行)遊び,⑤連合遊び,⑥協同遊びに分類した。協同遊びは,チーム対抗で遊ぶようなものであり,そこでは,集団意識を持ち,一つの目標に向かい,役割を分担し,互いに補い合うとされている。

エ.ピアジェ(Piaget, J.)は,自身の発達段階説に沿って遊びを三つの段階に分け, 1 歳半頃までの感覚運動期に対応する遊びを機能行使の遊び又は感覚運動的遊び, 5 , 6 歳頃までの前操作期に対応する遊びを規則遊び, 7 歳頃以降の形式的操作期以降に対応する遊びを象徴遊びと呼んだ。彼は,各遊びの段階を,認知発達に対応させて更に詳細に段階分けした。

1.ア,ウ
2.ア,エ
3.イ,ウ
4.イ,エ
5.ウ,エ

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

記述 ア は妥当です。
グロースの生活準備説です。

記述 イ ですが
ビューラーは幼児のあそびを心的機能により分類しました。すなわち、機能遊び、受容あそび、模倣遊び、構成遊び です。「機能遊び」とは、走る、つかむのような「自分の体の機能を用いて楽しむものです。「物の本来の機能とは異なる機能で遊ぶ」ものではありません。記述 イ は誤りです。

記述 ウ は妥当です。
パーテンによる、仲間との関わりに着目した遊びの分類です。

記述 エ ですが
ピアジェは、機能的遊び→象徴的遊び→規則遊び と発達的に遊びを分類しました。規則遊びと象徴遊びが逆になっています。記述 エ は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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