公務員試験 H29年 国家一般職(行政) No.45解説

 問 題     

中国及びインドの経済に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.中国は,1990 年代後半における経済の改革開放政策への転換を契機として,2000 年代以降,高い経済成長を持続した結果,2014 年にはGDP の規模は20 兆ドルを超え,同年の世界のGDP に占めるシェアは25 % に達している。

2.中国は,2000 年以降では,年率5 〜10 % の実質GDP 成長率を達成したが,これを需要項目別にみると,純輸出の寄与が大部分を占めており,総資本形成の寄与は比較的小さくなっている。この結果,2014 年のGDP 構成比は,純輸出が30 % 程度,総資本形成が15 % 程度となっている。

3.人民元の為替レート(対ドル)は,2005 年に人民元が完全な変動為替相場制に移行して以降,長期的に元安傾向で推移していたが,2015 年8 月以降,中国政府による為替介入の影響もあり,2016 年半ば現在まで元高傾向で推移している。

4.インドの実質GDP 成長率(新基準)は,名目GDP の40 % 弱を占める個人消費が低調であり前年度比がマイナスで推移していることから,2012 年度が7.2 %,2013 年度が4.3 %,2014 年度が2.3 % となっている。

5.インドの年度別の経常収支についてみると,ソフトウェア等のサービス収支や第二次所得収支(在外インド人による本国への送金等)が黒字であるものの,財の貿易収支が大幅な赤字であることから,2010 年度から2014 年度までは,毎年度,赤字で推移している。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
GDP の規模は 10 兆ドルを超えた所です。「20 兆ドル」ではありません。また、GDP シェアは、2020 年度時点で 20% に達していません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
中国の経済成長を牽引したのは投資による資本形成です。成長率の 半分以上をほぼ毎年占めていました。「純輸出の寄与が大部分を占めて」いたわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
中国は 2005 年から「管理変動為替相場制」に移行しました。これは、通貨当局が為替相場の動きを一定の範囲に収めようとする為替制度のことです。「完全な変動管理変動為替相場制」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
インドは大体 5% 以上の実質 GDP 成長率を保っています。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
インドの 2010 ~ 2014 年の経常収支は毎年度赤字推移しています。

以上より、正解は 5 です。

コメント