公務員試験 H29年 国家一般職(行政) No.39解説

 問 題     

ある経済の生産関数が

で示されるとする。

この経済における経済成長率(生産量の増加率)が 4 %,全要素生産性の増加率が 1 % であるとき,⑴ 労働者一人当たり資本ストック量の増加率,及び ⑵ 労働投入量の増加率の組合せとして妥当なのは,次のうちではどれか。

⑴ ⑵
1. 1 % 1.5 %
2. 2 % 1.75 %
3. 2 % 2.0 %
4. 3 % 2.25 %
5. 3 % 2.5 %

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

生産関数が Y = A Kα L1-α なので、新古典派の経済成長モデルと考えます。Y,A,K,L について「指標 X に対する成長率 ΔX/X」に注目した時、以下の関係が成り立ちます。これは基本知識です。

・経済成長率=技術進歩率+α × 資本成長率+(1ーα) × 労働成長率
・ΔY/Y = ΔA/A + α × ΔK/K + (1-α) × ΔL/L (←式バージョン)
※技術進歩率は「全要素生産性の成長率」とも呼ばれます。

生産関数の両辺を L で割った式もよく用いられます。この時 Y/L は「1人当たり生産量」、K/L は「1人当たり資本」と呼びます。1人当たり資本 K/L を 改めて 小文字で 「k」とおくと、「1人当たり資本ストックの変化率」である Δk/k は、Δk/k = ΔK/K ー ΔL/L が成立します。これも基礎知識となります。

まず、成長率の式と、与えられた値から
4=1 + 0.25 × ΔK/K + 0.75 × ΔL/L です。求めたいのが「一人当たり資本ストック量の増加率」、すなわち Δk/k なので、なんとかして「ΔK/K ー ΔL/L」を式から作り上げます。以下、ΔK/K ー ΔL/L を作るための式変形となります。

4=1 + 0.25 × ΔK/K + 0.75 × ΔL/L 【整理した上で、両辺を 4 倍】
→12 = ΔK/K + 3 × ΔL/L【
両辺から 4×ΔL/L を引く】
→12-4ΔL/L = ΔK/K ー ΔL/L です。右辺が「一人当たり資本ストック量の増加率」です。

選択肢との対応を合わせるため、左右を逆にします。
ΔK/K ー ΔL/L = 12-4ΔL/L  となります。以下、選択肢を検討します。

選択肢 1 が正解とすると
左辺が 1、右辺が 12-4× 1.5  です。等式が成立しません。

選択肢 2 が正解とすると
左辺が 2、右辺が 12ー4× 1.75 です。等式が成立しません。

選択肢 3 が正解とすると
左辺が2、右辺が12ー4× 2 です。等式が成立しません。

選択肢 4 が正解とすると
左辺が3、右辺が12-4 × 2.25  です。これが正解です。

以上より、正解は 4 です。

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