公務員試験 H29年 国家一般職(行政) No.26解説

 問 題     

多数当事者の債権関係に関するア〜オの記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア. 1 個の可分給付につき数人の債務者がある場合,各債務者は,別段の意思表示がある場合に限り,それぞれ等しい割合で義務を負う。

イ. 1 個の不可分給付につき数人の債務者がある場合,債権者が債務者の一人に対してその債務を免除したときは,その債務者の負担部分についてのみ,他の債務者の利益のためにも,その効力を生ずる。

ウ.連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても,他の連帯債務者の債務は,その効力を妨げられない。

エ.連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは,その連帯債務者の負担部分についてのみ,他の連帯債務者の利益のためにも,その効力を生ずる。

オ.債務者が保証人を立てる義務を負う場合,債権者が保証人を指名したときを除き,その保証人は行為能力者であることが必要である。

1.イ
2.オ
3.ア,ウ
4.イ,エ
5.ウ,オ

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

記述 ア ですが
民法 427 条によれば、「数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負」います。「別段の意思表示がある場合に限り」ではありません。記述 ア は誤りです。

記述 イ ですが
民法 430 条により、債務の目的が性質上不可分である時、連帯債務の規定が 440 条(混同)を除き準用されます。437 条「連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない」の準用により、債権者が債務者の一人に対し債務免除しても、他の債務者の債務は効力を妨げられません。記述 イ は誤りです。

記述 ウ は妥当です。
民法 437 条です。

記述 エ ですが
民法 438 条により、「連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅」します。記述 エ は誤りです。

記述 オ は妥当です。
保証人の要件について定めた民法 450 条です。

以上より、正解は 5 です。

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