公務員試験 H28年 国家専門職(教養) No.35解説

 問 題     

北アメリカ及びラテンアメリカ諸国の独立に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.18 世紀半ばまでに,北アメリカの東海岸には,イギリスによって20 以上の植民地が成立していた。しかし,イギリス領カナダが独立を果たしたことをきっかけに,北アメリカの植民地においても独立運動が本格化し,アメリカ独立革命の起点となった。

2.植民地軍総司令官に任命されたジェファソンは,大陸会議においてアメリカ独立宣言を採択した。それに対し,イギリス本国が東インド会社による植民地への茶や綿の販売を厳しく制限したため,植民地側はボストン茶会事件を起こして反発し,独立戦争へと発展していった。

3.ヨーロッパにおける三十年戦争の激化により,戦局はしだいに植民地側に有利になり,18 世紀末,イギリスはウェストファリア条約でアメリカ合衆国の独立を承認した。その後,人民主権,三権分立を基本理念とする合衆国憲法が制定され,初代大統領にワシントンが就任した。

4.フランス革命の影響を受けたトゥサン=ルヴェルテュールらの指導により,カリブ海フランス領で反乱が起こった。植民地側はこれに勝利し,キューバ共和国がラテンアメリカ初の独立国としてフランス,アメリカ合衆国から正式に承認され,あわせて奴隷制が廃止された。

5.16 世紀以降の南アメリカ大陸は,多くがスペインの植民地であったが,ナポレオンによるスペイン占領の影響をきっかけに,独立運動が本格化した。植民地側は次々と勝利を収め,19 世紀前半には,南アメリカ大陸のほとんどの植民地が独立を達成した。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが、北アメリカの植民地において独立運動が本格化したきっかけは、イギリスによる茶法の制定→ボストン茶会事件→イギリスの報復措置 という流れです。カナダの独立ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが、アメリカ独立宣言と、ボストン茶会事件の前後関係が逆です。さらに、イギリス本国は、茶の「専売」を東インド会社に許しました。販売を制限したわけではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが、ウェストファリア条約は 1648 年の条約です。明らかに誤りです。

選択肢 4 ですが、トゥサン・ルヴェルチュールは、ラテンアメリカ初の独立国となった「ハイチ」独立を指導した黒人です。キューバではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

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