公務員試験 H28年 国家一般職(農学) No.26解説

 問 題     

植物の病原体・病原微生物に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.菌類は,一般に,カビ,糸状菌,きのこ,変形菌,粘菌などと呼ばれている真核生物の総称で,その全てが吸収により栄養を獲得する従属栄養によって生活している。植物の病原体として菌類が占める割合は小さく,全体の約20 % といわれている。

2.細菌は,原核生物に属し,DNA が核膜に包まれておらず,細胞内小器官を有しない。細菌の多くは,細胞膜と細胞壁に包まれた桿状の細胞構造を有している。幅約0.5~ 1 μm,長さ1 ~数μm の大きさで,光学顕微鏡で観察することができる。

3.ファイトプラズマは,球形又は多形性の原核生物で,細胞壁と細胞膜に包まれており,一般の細菌と比べて大きい。イネ黄萎病,ジャガイモてんぐ巣病などの萎黄叢生症状を引き起こす植物師部局在の細菌であり,ヨコバイ類の昆虫によって媒介される。

4.ウイルスは,RNA かDNA のいずれかの核酸だけで構成される最小の病原体である。植物ウイルスは,生きた植物の細胞内で増殖することができるが,媒介する昆虫の体内では増殖することはできない。

5.線虫類の生息数は後生動物中で最も多い。既知種はおよそ20,000 種類と推定されている。植物寄生線虫の摂食活動の方式は,いずれも植物内を移動しながら加害箇所を拡大する移住性である。植物寄生線虫は,非絶対寄生者であり,宿主植物がなくても生存が可能である。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
植物の病原体として菌類は「大部分を占め」ます。8割前後と言われています。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。

選択肢 3 ですが
ファイトプラズマとは植物に寄生して病害を起こす一群の特殊な細菌です。「細胞壁を欠きます」。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ウイルスは基本的に「核酸+タンパク質」で構成される粒子です。また媒介昆虫体内でも増殖可能です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
「線虫類が最も多い」という記述は妥当ではないと考えられます。また、植物寄生線虫は「絶対寄生者」です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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