公務員試験 H28年 国家一般職(農学) No.16解説

 問 題     

我が国における施設(ハウス及び温室)栽培の環境制御に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.施設内の気温を低くするために,換気や遮光が行われる。夏季の冷房は経営上難しいが,細霧冷房やパッドアンドファンなどを用いた冷房が導入されている例もある。これらは,水の凝縮熱を利用した方式が一般的であり,施設内の湿度が高い場合に冷却効果が高い。

2.光を照射する目的には,花芽分化を調節するために照射する電照と,光合成速度を高めて成長の促進を図る補光とがある。メタルハライドランプは消費電力が小さいため,電照用によく使われる。白熱電球は発光効率が高く寿命も長いため,補光用によく使われる。

3.施設内の加温は,ボイラーによる温風暖房方式と温水暖房方式が多く使われていたが,近年では,ヒートポンプ暖房方式が大部分である。ヒートポンプ暖房方式は,空気熱や地下水熱を利用して熱を低温部から高温部へ移動させる装置であり,省エネルギーで,導入のための設備費が安価である。

4.紫外線の透過率を低下させる被覆資材には,ナスなどに含まれるアントシアニン色素の発色を促進させる効果がある。逆に,紫外線の透過率を高める被覆資材により,施設内への昼光性害虫の侵入や,灰色かび病などの胞子の発芽を阻止することができる。

5.作物の光合成を促進するために,CO2 の施用が行われる。灯油やプロパンガスを燃焼させるCO2 発生装置や,液化CO2 ボンベが使用される。低濃度や過剰施用を避けるには,CO2 濃度を計測して自動的に調整するCO2 ガスコントローラーが用いられることもある。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
水の「蒸発熱」を利用した方式です。「凝縮熱」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
メタルハライドランプは主に「補光」に用いられます。白熱電球は電照用に用いられます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ヒートポンプ方式は現在の所、導入コストが「安価」とはいえません。よって、選択肢 3 は妥当ではないと考えられます。

選択肢 4 ですが
紫外線の透過率を低下させることで、ナスなどのアントシアニン色素の発色は「抑制」されることがあります。「促進」ではないと考えられます。また、一般的に虫は紫外線を好むので、透過率を高めることで「害虫の侵入、、、阻止」は妥当ではないと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

以上より、1~4誤りなので、正解は 5 です。

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