公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.4解説

 問 題     

創造性に関する記述 A〜Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.ウァラス(Wallas, G.)は,創造の過程が4 期から構成されるとした。そのうち第2 段階のあたため期(孵化期)は,問題解決の直接的な手立てについての考察は一旦置き,考察が休止しているように見える時期である。この時期には,親鳥が卵を温めるように,外見上の変化はなくとも,頭の中では問題に関連する何らかの活動が進行していると推測される。

B.ギルフォード(Guilford, J.P.)は,創造性の最も重要な要素は,創造につながる想像力である拡散的思考であると考えた。さらに,因子分析により八つの創造性因子を見いだし,空間パターンを認識し操作する空間的創造因子や,種々のものを区別し,その区別を正当とする際に適用する博物的創造因子などを挙げた。

C.創造性を診断する検査は複数開発されており,我が国において標準化されたものには SA 創造性検査や TCT 創造性検査がある。これらは具体的な物や事象についての応用力や空想力などを調べることを目的としているが,言語による測定は困難であるとされており,いずれの検査も非言語性課題で構成されている。

D.人間は,ある特定の解釈や考え方に固執し,他の可能性を考慮しない場合がある。このうち,特に物や道具の用途について,その典型的な用途に固執し,別の可能性を考えないことを機能的固定(固着)という。これは,創造的問題解決を阻害する要因として解決者側に形成される構えの一つとされる。

1.A,B
2.A,C
3.A,D
4.B,C
5.B,D

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

記述 A は妥当です。
ワラスの「準備→温め→ひらめき→検証」の4段階です。

記述 B ですが
ギルフォードが考えた創造性の因子は「6つ」です。問題を受け取る能力、思考の円滑さ、柔軟性、独創性、再構成、完成へと工夫する能力です。八つではありません。記述 B は誤りです。

記述 C ですが
SA 創造性検査には、特定の物・事柄に対するアイデアを自由に記述する言語式の課題があります。また、TCT 創造性検査にも、自由記述を行う課題があります。「言語による測定は困難である」という記述は妥当ではありません。記述 C は誤りです。

記述 D は妥当です。
機能的固着について、ローソク問題という代表的な問題があります。箱に入った画鋲を見た時に、箱に対して「画鋲を入れる容器」と解釈し、それに固執する、というのが機能的固着の代表例です。

以上より、正解は 3 です。

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