公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.44解説

 問 題     

我が国の経済成長及びその背景に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.一人当たり実質 GDP の水準は,1990 年を 100 とした指数でみると,我が国は 2000 年以降 2013 年現在まで若干の低下傾向で推移しているものの,OECD 諸国の平均を大きく上回る水準となっている。

2.成長会計分析によると,我が国の実質 GDP 成長率の年平均は 1980 年代の 7 % 台から 1990 年代の 3 % 台へ低下したが,この成長率の低下は TFP(全要素生産性),資本,労働の寄与がそれぞれ 0.5,1.0,2.5 % ポイント低下したことによるものである。

3.全産業の名目付加価値に占めるサービス産業(全産業から農林水産業,鉱業,製造業,建設業を除いた全ての産業)の割合は,2000 年には 70 % 程度であったが,2013 年には 60 % 弱へ低下した。また,2013 年における我が国の当該数値は,アメリカ合衆国よりも高い。

4.官民の研究開発費の合計である総研究開発費が名目 GDP に占める割合は,リーマンショック後の2000 年代末には若干の低下がみられたものの,1980 年代以降 2013 年現在まで上昇基調が続いている。

5.2010 年代初めにおける企業部門の研究開発費全体に占める,従業員が 250 人未満の中小企業の割合をみると,我が国は 20 % 程度であり,アメリカ合衆国,英国,フランスよりも高い水準にある。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
一人当たり実質 GDP について、日本は 2000 年以降順位を落としており、2013 年現在で「OECD 諸国の平均を大きく上回る水準」とは言えない状況です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
日本の実質 GDP 成長率の年平均は、1980 年代まで年平均 4% 程度上昇から、1990 年代の年平均 1% 程度上昇へと低下しています。この変化に大きく寄与したのは、成長会計分析によれば、「TFP上昇率の低下と労働時間の低下」です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
サービス産業の占める割合は日本でも世界でも上昇傾向です。日本では、2000 年に 60% 程度でしたが、2013 年には 70% 程度へ上昇しています。ちなみに英米では、サービス産業の割合は 8 割程度を占めます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
総研究開発費についての記述です。

選択肢 5 ですが
日本において、企業の研究開発といえば大企業を連想するのではないでしょうか。小さな企業が行っている研究開発費が 「20 % 程度を占める」とは考えづらいという判断が期待されている選択肢と思われます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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