公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.17解説

 問 題     

行政行為の附款に関する ア〜オ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.附款は行政庁の裁量権行使の一環であるため,裁量権行使についての制約がかかることになり,明文の規定がなくとも,平等原則や比例原則に違反する附款は許されない。

イ.条件とは,行政行為の効力・消滅を発生確実な事実にかからしめる附款をいう。

ウ.附款は,あくまで主たる意思表示に付加された行政庁の従たる意思表示にすぎないから,本来の行政行為による効果以上の義務を相手方に課す負担を付す場合であっても,法律の根拠は不要である。

エ.行政行為を撤回するためには,あらかじめ撤回権を留保する附款を付さなければならない。

オ.附款は主たる意思表示に付加された行政庁の従たる意思表示であることから,附款のみを対象とする取消訴訟を提起することはできない。

1.ア
2.イ
3.ア,ウ
4.ウ,エ
5.エ,オ

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

付款(ふかん)とは行政行為の効果を制限したり、特別な効果を付与するための、付随的事項です。運転免許の条件としての眼鏡着用が代表例です。

記述 ア は妥当です。
平等原則や、比例原則(目的達成に必要最小限の附款でないといけないという原則)に違反する附款は許されません。

記述 イ ですが
条件とは、「発生不確実」な事実にかからしめる意思表示です。「~したらね。」といったフレーズを考えると理解しやすいのではないでしょうか。「発生『確実』な事実にかからしめる」わけではありません。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
負担を課す場合の附款について、負担に違反しても行政行為の効力には影響がなく、せいぜいその撤回がなされるにとどまるような場合が「負担」です。従って、本来の行政行為による効果「以上の義務」を課す場合は、法律の根拠が必要と考えられます。記述 ウ は誤りと考えられます。

記述 エ ですが
行政行為の撤回は、必ずしも明文根拠がなくても、利益衡量の下で可能です。記述 エ は誤りです。

記述 オ ですが
本体たる行政処分と分離可能であるならば、附款のみを対象とする取消訴訟も提起できると考えられています。記述 オ は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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