公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.10解説

 問 題     

地方財政制度に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.昭和 24(1949)年に来日したシャープ税制調査使節団によるシャープ勧告では,中央地方の財政調整制度として,地方交付税制度の創設が提言された。これにより,同年,所得税・法人税・酒税・消費税の国税4 税収入の一定割合を地方公共団体への配分総額とする地方交付税制度が創設された。

2.地方税法において定められている法定税には,国が望ましい税率(標準税率)を定めているものがある。ただし,地方公共団体に財政上の特別の必要がある場合には,標準税率を上回る税率を,条例で定めることも可能である。

3.市町村合併を推進するために,市町村の合併の特例に関する法律に基づき,合併特例債に代表される手厚い財政支援措置が行われている。しかし,平成 11(1999)年4 月に 3,229 であった市町村数は平成 26(2014)年4 月には 1,718 まで減っていること等から,合併特例債の廃止が検討されている。

4.三位一体改革では,国庫補助負担金,地方税財源,地方交付税の一体的削減が行われた。しかし,社会保障や義務教育は,引き続き国の責任の下で実施することが必要であるため,国庫補助負担金の廃止・縮減の対象とはされなかった。

5.地方公共団体の財政の健全化に関する法律が平成 21(2009)年4 月から施行され,健全化判断比率が一定の基準以上に達した地方公共団体は,申請により財政再建団体に指定されることとなった。ただし,平成 27 年末現在までに,財政再建団体に指定された地方公共団体はない。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
昭和 24 年の話であれば「消費税」はまだないと考えられます。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
超過課税についての記述です。

選択肢 3 ですが
東日本大震災などの影響を受けた全国的建設需要の高まりで、公共事業の入札不調が相次ぎ、発行期限内に整備を終えられない市町村から延長を求める声があがり、延長されています。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
特に義務教育費国庫負担制度については激論が交わされました。結果として、国の負担割合が引き下げられたが、今後も堅持するという内容にまとまりました。「廃止・縮減の対象とはされなかった」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
財政再建団体として、北海道夕張市があります。「財政再建団体に指定された地方公共団体はない」わけではありません。また、夕張以外には、福岡県赤池(現在の福智町)があります。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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