公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.9解説

 問 題     

行政組織の編成と組織管理に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.各省庁の内部機構の新増設に対しては,スクラップ・アンド・ビルドの原則が適用されている。すなわち,各省庁の内部機構に関しては,時限を定め,その時限ごとに更新の必要の有無を厳格に審査することとしている。

2.国の行政機関には,庁が外局として設置されることがある。庁の長は,国務大臣の中から任命される。また,大臣が,外局内の職員の任命権を持つ。庁は,省と同様に,自ら省令等の命令を出すことができる。

3.内部部局の局や部の新設改廃は,以前は,内閣が定める政令事項とされていたが,現在は,国会が定める法律事項とされている。これは,行政組織の在り方を国会ができるだけ細かく規定できるようにすることで,行政に対する民主的チェック機能を強めることを目的としている。

4.中央省庁等改革基本法に基づく改革では,内閣の補佐機能を強化するために,総理府が廃止され,内閣府が新設された。内閣府には,特命担当大臣・副大臣・大臣政務官が配され,経済財政諮問会議等の合議制機関が置かれている。

5.内閣官房及び内閣府は,内閣機能強化の観点からその充実が図られてきたが,様々な業務が集中してきたことから,橋本龍太郎内閣の下,組織及び仕組みの効率化・見直しを行うことが決定された。これを受け,内閣府が担ってきた自殺対策や食育推進等の業務が,各省庁に移管された。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
第一文は妥当です。スクラップ・アンド・ビルドの原則とは、内部機構の新増設に際し、同格同数の組織や職を統廃合する案も提示しなければいけないという原則です。これにより、内部機構の純増を抑制します。「時限を定め・・・更新の必要の有無を厳格に審査」という原則ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
一例として、スポーツ庁を思い出せれば「庁の長は、国務大臣の中から任命される」と決まっているわけではないと判断できるのではないでしょうか。ちなみに国務大臣とは、内閣総理大臣以外の、内閣の大臣です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
国家行政組織法によれば、「・・・局及び部の設置及び所掌事務の範囲は、政令でこれを定める。」とあります。従って「政令事項」です。法律事項ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
内閣府についての記述です。

選択肢 5 ですが
内閣府は、橋本龍太郎政権が改革の道筋をつけ、2001年、森政権下において3つの府庁を統合して誕生した巨大官庁です。その後、肥大化傾向が見られ、第3次安倍内閣において、今後の各省庁への事務移管等が定められました。「橋本龍太郎内閣の下・・・見直しを行うことが決定」されたわけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

コメント

  1. はる より:

    公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.9解説で、内閣府は、2001年、橋本政権において、3つの府庁を統合して誕生した巨大官庁です。とありますが間違えではないでしょうか?

  2. kazupiko より:

    ご指摘ありがとうございます。
    修正いたしました!