公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.8解説

 問 題     

公務員制度に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.米国のジェファーソン大統領は,有権者の意思を政策に反映するためには人事にもそれを反映することが真の民主主義であると考え,就任後政府高官を大規模に更迭し,自らの政治信条に沿った人々を新たに登用した。

2.米国では,猟官制の伝統が確立されていたが,1880 年代に行政課題の複雑化と専門化に対応するため,資格任用制と政治的中立性を根幹とするペンドルトン法案が議会に提出されたものの,否決され,資格任用制の範囲の拡大は断念された。

3.公務員制度におけるアメリカン・デモクラシーは,米国のジャクソン大統領が,それまでの政府高官を大規模に更迭し,選挙活動への貢献の度合いで支援者の任用を行う政治任用を改め,メリット・システムを導入したジャクソニアン・デモクラシーにみられる。

4.英国では,政党内閣制の発達期に,1853 年のノースコート・トレヴェリアン報告の勧告を受けて,政権交代時には政権の意図を明確に反映するために,政党色を人事に反映することが有効であるとして,内閣による民主的統制を重視する新しい公務員制度が確立された。

5.明治初期の我が国では,明治維新を遂行した藩閥勢力から官吏が登用されていたが,試験合格者から官吏を登用する仕組みが確立され,最初の政党内閣である隈板内閣も試験に基づく官吏制度が日本の民主主義を確立すると考えた。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
ジェファーソン大統領は、猟官制の起源です。

選択肢 2 ですが
ガーフィルド大統領の暗殺を機に提出されたペンドルトン法案は可決されました。近代的メリットシステムによる公務員任用制度の基礎をなしています。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ジェファーソン大統領に端を発する猟官制は、ジャクソン大統領時代に定着しました。「メリットシステムを導入したジャクソニアンデモクラシー」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ノースコート・トレヴェリアン報告は、イギリスの競争試験任用制を核とする公務員任用制度を築くきっかけとなった報告です。「政治色を人事に反映することが有効であるとして」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
最初の政党内閣である隅板内閣において、政治的任用による混乱があり、その後の第二次山縣内閣において、文官任用令改正により、資格任用制が確立しました。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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