公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.7解説

 問 題     

M.リプスキーのストリートレベルの官僚(street-level bureaucrats)に関するア〜エの記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.ソーシャル・ワーカーや教師など,日々サービスの対象者に直接接し職務を遂行する現場担当職員を,ストリートレベルの官僚と呼び,現場の職員であるがゆえに,職務上の裁量の余地が広く,対象者に対する権力が大きいことが特徴であるとした。

イ.外勤警察官の主な職務には,住民から持ち込まれた事案に対応する活動と,街の中で地域を巡回しながら行う活動があるが,異なる性質の業務を担当していることによる「エネルギー振り分けのジレンマ」を解消するには,巡回活動に専念する定型化が望ましいとした。

ウ.ストリートレベルの官僚は,職務の性質上,上司の濃密な監督を受けないことから,職権を乱用した人権侵害,恣意的な法適用による不公平な対応,対象者との癒着などの弊害が懸念されるため,対象者の自宅を訪問することを禁止すべきとした。

エ.行政の仕事のうち,特に政策の実施や執行に関しては,行政改革の潮流の中で非営利組織などの主体に委ねられるようになり,行政組織と同様の役割を果たすようになる人々を「新しいストリートレベルの官僚」と呼んだ。

1.ア,イ
2.ア,ウ
3.ア,エ
4.イ,ウ
5.ウ,エ

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

ストリート・レベルの行政職員=対象者との直接的な接触を、日常業務としている行政職員のことです。例)お巡りさん、ケースワーカー。

リプスキーは、この主の行政職員が、多様で複雑な現実問題に対処しており、「法適用の裁量」・・・法令や通達を、現実に柔軟に適用、「エネルギー振り分けの裁量」・・・何に力点をおくか、柔軟に決定(特に、エネルギー振り分けの裁量があるのがストリート・レベルの行政職員の、大きな特徴)という特徴を分析しました。(H26no8)これをふまえて、各記述を検討します。

記述 ア は妥当です。
ストリートレベルの官僚の特徴についての記述です。

記述 イ、ウ のような内容ではありません。
「定型化が望ましい」、「自宅を訪問することを禁止すべき」といった部分で誤りと判断できるのではないでしょうか。

記述 エ は妥当です。
「新しいストリートレベルの官僚」についての記述です。

以上より、正解は 3 です。

コメント