公務員試験 H27年 国家専門職(食品衛生監視員) No.3微生物学Ⅲ解説

 問 題     

細菌が産生する毒素について以下の問いに答えよ。
⑴ 細菌が産生する毒素には大きく分けて外毒素(エキソトキシン)と内毒素(エンドトキシン)の2種類がある。これらの特性の相違点についてそれぞれ4行程度で説明せよ。

⑵ 次の細菌と産生する毒素の組合せとして妥当なものを二つ選び出しその番号を記せ。

細菌 産生する毒素
① 黄色ブドウ球菌 耐熱性溶血毒
② 緑膿菌 エキソトキシンA
③ ウェルシュ菌 志賀毒素
④ サルモネラ属菌 コリックストキシン
⑤ リステリア・モノサイトゲネス リステリオリジン
⑥ 腸炎ビブリオ テタノスパスミン

 

 

 

 

 

 解 説     

(1)回答例
外毒素とは、細菌が菌体外に放出する毒素のことです。実体はタンパク質です。外毒素の特性の、内毒素との相違点としては、内毒素が菌種間で毒性が非特異的であるのに対して、外毒素の毒性は特異的である点があげられます。また、外毒素はタンパク質であるため、ホルマリン等で処理すると毒性を失い、免疫原性を有するトキソイドとなる点があげられます。

内毒素とは、グラム陰性菌の細胞壁の成分です。積極的に分泌されるわけではない毒素です。物質としての実体はリポ多糖です。毒素の活性本体はその中のリピドA構造です。内毒素の特性の、外毒素との相違点としては、菌の種類によらず生物学的活性はほとんど同じであるという点があげられます。
(ちなみに、検出法としてカブトガニの血球抽出液を用いるリムルステストに対して陽性 or 陰性 という点を相違点としてあげてもよいかもしれません。)

(2)
①ですが
耐熱性溶血毒といえば、腸炎ビブリオです。
黄色ブドウ球菌が産生する代表的毒素は、エンテロトキシンです。エンテロトキシンも耐熱性です。

②は、妥当な組合せです。
エキソトキシン A は、エキソが「外」、トキシンが「毒」を意味し、外毒素の代表例の一つです。

③ですが
志賀毒素を産生するのは、赤痢菌や O157 です。ウェルシュ菌の産生する毒素は、エンテロトキシンです。

④ですが
コリックストキシンを産生するのは、コレラ菌です。

⑤は、妥当な組合せです。

⑥ですが
①の解説にもあったように、腸炎ビブリオといえば、耐熱性溶血毒です。
テタノスパスミンは、破傷風の原因毒素です。破傷風菌によって産生されます。

以上より、妥当な組合せは②、⑤です。

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