公務員試験 H27年 国家一般職(農学) No.10解説

 問 題     

作物の品種改良栽培あるいは利用に重要な形質に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. コムギやオオムギの穂が分化するためには一定期間の低温に遭う必要がある。秋播性程度は,幼穂分化が可能になる平均気温に基づく尺度であり品種によって異なる。秋播性程度が高い品種は寒い時期の前に幼穂が分化してしまうため穂に凍霜害が生じやすい。

2. ダイズには花芽分化後も茎頂の生育が長く続き頂部の花房がよく発達する無限伸育型と花芽分化後間もなく茎頂の生育が止まり頂部の花房が余り発達しない有限伸育型の品種がある。ダイズ祖先種とされるツルマメは有限伸育型であり我が国の品種はほとんどが無限伸育型である。

3. イネの水田作(湛水栽培)にはリン酸の無効化が少ない連作障害が起きにくい土壌の塩類集積や侵食がほとんどないなどの利点がある。イネは葉から茎を経て根に通じる通気組織が発達しており特に耐湿性の高い作物であるため湛水による栽培が可能となっている。

4. トウモロコシでは低温や乾燥などの環境ストレスや窒素不足が栄養成長期に起こると絹糸(雌蕊)抽出後の雄穂抽出が遅延して減収する。絹糸抽出から雄穂抽出までの日数には遺伝的変異があり選抜指標として使われてきた。

5. ナタネ油に含まれる成分のうちグルコシノレートは動物の心臓機能に害を及ぼすことが知られている。またエルシン酸はその分解産物が飼料として給与される油の絞り粕に含まれていると家畜の甲状腺異常を引き起こすことが知られている。このため最近のナタネ品種はこれらを低減させた品種群が主体となっている。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
秋播性程度は「必要低温の長さ」に基づく分類です。そして、秋播性程度が高い品種は、冬の低温に長時間あたる必要がある品種です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
前半部分の記述は妥当です。後半部分ですが、日本で栽培されている品種のほとんどは有限伸育型です。選択肢 2 は誤りです。ちなみに、日本で栽培されている無限伸育型の品種にはツルコガネがあります。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
「遺伝的変位があり、選抜指標として使われてきた」という記述は妥当ではないと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
グルコシノレートとエルシン酸(エルカ酸)が逆です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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