公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.54解説

 問 題     

組織や社会に関する記述 ア~エ のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

ア. R. ミヘルスが定義した寡頭制の鉄則とは、民主的な組織を研究した結果、民主的な社会集団における支配権力は常に多数の者によって行使され、少数の者が常に多数の者によって支配される対象になるという規則である。

イ. G. E. メーヨーらは、ホーソン工場で行われた、いわゆる「ホーソン実験」において、作業能率・生産性は、物理的環境条件や作業方法と一義的に結び付くものではなく、人間関係、監督の在り方、作業者個々人の労働意欲などと密接な関係があることを明らかにした。

ウ. G. ジンメルが提唱したシステムモデルである AGIL 図式は、組織を閉じたシステムとみなして、組織を取り巻く、環境技術などの諸条件が変化しても、最善・最適な組織編成の方法は変化することなく普遍的であるとするものである。

エ. C. W. ミルズは、国家権力を独占するエリート層であるパワー・エリートを、経済・政治・軍事の三つの制度的秩序の頂点に立って、連合して支配的地位を占めている人々であると特徴付けた。

1. ア イ
2. ア ウ
3. イ ウ
4. イ エ
5. ウ エ

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 ア の寡頭制の鉄則は、政党の事例研究を組織一般に拡大した法則です。「組織が大規模化すると、集権化などの官僚制化、少数者支配をもたらす」という意味です。「少数の者が・・・多数の者により支配される対象となる」という規則ではありません。記述 ア は誤りです。

記述 イ は妥当です。
メーヨーの「ホーソン実験」です。

記述 ウ ですが
AGIL 図式は、パーソンズが提唱しました。ジンメルではありません。また、AGIL 図式とは、システム分析のためのツールです。外部的/内部的、目的/道具的 という 2 × 2 の要素で、システムが満たすべき 4 要件である A,G,I,L を提唱しました。記述ウは誤りです。

記述 エ は妥当です。
ミルズのパワーエリート論です。

以上より、妥当な記述は イ、エ です。正解は 4 です。

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