公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.46解説

 問 題     

我が国の非行や犯罪に関する法律や制度についての記述として最も妥当なのはどれか。

1. 非行少年の処遇は、児童福祉法と刑法に基づいて行われ、非行少年を対象とした矯正施設は少年院である。児童福祉法において、少年とは満 20 歳に満たない者をいい、少年院に在院中の者が満 20 歳を超えた場合は、全て刑務所に移送される。

2. 保護司制度は、非行少年対策として、地域若者サポートステーションに配置された退職警察官が、学校からの要請に応じ、学校における問題行動への対応、巡回活動、相談活動、児童生徒の安全確保に関する助言等を行うものである。

3. 心神喪失者等医療観察法* は、心神喪失等の状態で他害行為を行った者のうち、心神喪失等を理由として刑務所に収容されない者に対して、裁判所が医療機関への強制的な入院又は通院を命じるための手続等を定めている。他害の結果、被害者が死亡した事件の加害者のみが対象となり,10年以上の入院又は通院の継続が命じられる。

4. 2013 (平成25) 年現在、全ての刑務所に、高齢受刑者の生活支援に特化した介護福祉士が配置されている。2014 (平成26) 年からは、高齢受刑者の中でも特に支援が困難なケースを専門に担当する福祉専門官の刑務所への配置も始まったが、福祉専門官として採用されるには、介護福祉士に加え介護支援専門員の資格が必要である。

5. 地域生活定着促進事業は、高齢又は障害により福祉的な支援を必要とする矯正施設退所予定者や退所者等に対し、各都道府県の設置する地域生活定着支援センターが、矯正施設、保護観察所等と連携・協働するなどし、その社会復帰や地域生活への定着を支援し、再犯防止対策に資することを目的としている。

(注)* 正式には「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法
律」

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
児童福祉法において、まず「児童」は、満18歳に満たない者です。そして、児童のうち「少年」は、中学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者です。「満 20 歳に満たない者」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「退職警察官が」という点に違和感を覚えるのではないでしょうか。保護司は、非常勤の公務員ボランティアです。犯罪や非行に陥った人の更生を任務とします。必要な資格が特にあるわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
「他害の結果、被害者が死亡した事件の加害者のみ」という点が厳格すぎる条件で、違うと感じるのではないでしょうか。「重大な他害行為を行った人」が対象です。その中には強制わいせつや傷害なども含まれます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「2013 年…全ての刑務所に… 介護福祉士が配置されている」わけではありません。「全て」はないだろうと判断できるのではないでしょうか。また、福祉専門官として採用されるには、社会福祉士か精神保健福祉士の資格が必要です。「介護支援専門員」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

コメント