公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.42解説

 問 題     

我が国の児童福祉に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 児童相談所は、児童福祉法に基づき全ての市町村に設置が義務付けられている行政機関である。また児童相談所は、児童家庭相談に関する専門的な知識及び技術を必要とするものについては、都道府県知事に技術的援助及び助言を求めなければならないと同法において規定されている。

2. 児童相談所で扱う相談の種類は、児童相談所運営指針において、養護相談、保健相談、育成相談の三つに分類されている。同運営指針において養護相談は、学校に登校していない児童に関する不登校相談、家庭内におけるしつけや教育、遊びに関するしつけ相談などを扱うこととされている。

3. 自立援助ホームは、障害者総合支援法* に基づく障害者支援施設であって、障害児入所施設等を退所した者又はその他の市町村長が必要と認めた者が、共同生活を営む施設である。同法において、同ホームでは、自立を図るために必要な相談などの日常生活上の援助、就労支援が行われることとされており、生活指導は行われない。

4. 児童福祉法に基づく児童福祉施設には、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設などがある。「平成 25 年社会福祉施設等調査の概況」によると、 2013 (平成25) 年 10 月1日現在、児童福祉施設の中で最も数が多いのは保育所である。

5. 児童福祉法に基づく児童委員は、都道府県知事が定める基準を参酌して福祉事務所長が委嘱し,その任期は、1期 10 年とされている。また、児童委員は、同法に基づき民生委員としても任じられているが、 1994 (平成6) 年に創設された主任児童委員は、子ども・子育て支援のみに従事し,民生委員を兼任できないと同法において規定されている。

(注)* 正式には「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
児童福祉法 12 条によれば、児童相談所は「都道府県」に設置義務があります。「全ての市町村に」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
児童相談所運営指針 第1章第3節によれば、「相談の種類は…大きくは養護相談、障害相談、非行相談、育成相談、その他の相談に分類される」とあります。三つに分類ではありません。運営指針を覚えている必要はありませんが、「障害相談」もあると判断できるのではないでしょうか。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
自立援助ホームは、なんらかの理由で家庭にいられなくなり、働かざるを得なくなった、原則15~20歳(状況により22歳まで)の子どもたちに、暮らしの場を与える施設です。根拠法は「児童福祉法」です。「障害者総合支援法」に基づく障害者支援施設ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。

選択肢 5 ですが
児童委員は民生委員が兼ね、任期は 3 年です。「10 年」ではありません。また、民生委員と児童委員が兼任であり、児童委員から主任児童委員が選ばれるため、民生委員を兼任すると考えられます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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