公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.20解説

 問 題     

臨床心理学における効果研究の代表的な方法の一つである無作為化比較試験 (Randomized Controlled Trial) に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 臨床介入の効果を検証するための研究法の一つで、独立変数としての臨床介入の量と質を漸進的に変化させた上で介入を行い、従属変数としての症状の改善等に関して、介入を行う前との差異を明らかにするものである。

2. ある臨床介入を行った群と行わなかった群との効果の差異を集計する方法であり、過去に行われた多数の研究からランダムサンプリングした研究各々について、介入群と非介入群の症状の改善等について平均値の差異を求めその差異を標準化して効果サイズを算出し、研究結果を集約する。

3. ターゲットとなる臨床介入を実施しているか否かが、クライエントにも臨床介入者にも分からないような条件の下で、ターゲットとなる介入を行った群と行わなかった群の症状の改善等を比較する方法であり、期待や意欲といった要因までも統制することができる。

4. 臨床介入の必要な人にそれをしないという倫理的問題を生じさせないために、既に介入済みの者の症状の改善等を、その各々と性別、年齢、教育歴、知能程度などがほぼ一致する介入予定者の介入後の症状の改善等と比較して評価する方法である。

5. クライエントを、ある臨床介入を行う群と行わない群にランダムに割り付け、介入の有無と症状の改善等の関係を検討する方法であり、実施に当たって介入者は介入の方法を変更したり、工夫を加えたりすることなく、マニュアルに厳密に従わなければならない。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

無作為化比較試験は、「ある介入を行う群と行わない群を無作為に割り当て、介入効果の違いを検討する方法」です。

選択肢 1 ですが
「臨床介入の量と質を漸進的に変化させた上で介入」という部分から、誤りと判断できるのではないでしょうか。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「過去に行われた多数の研究から」とあることから、既に行われた研究に対する後ろ向き研究です。無作為化比較試験ではないと考えられます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
これが悩む選択肢かと思います。記述は「二重盲検法」についてです。無作為比較についてではありません。「無作為比較 かつ 二重盲検」という試験デザインはありえるし、聞いたこともあって混同した人もいるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「既に介入済みの者・・・ほぼ一致する介入予定者の・・・」という部分から、無作為比較ではないと判断できるのではないでしょうか。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

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