公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.60解説

 問 題     

ジェンダーの社会学に関する次の記述のうち妥当なのはどれか。

1. フェミニズムとは国際連合が性差別の撤廃と男女平等の促進経済・社会・文化の発展への女性参加の確保国際協力と世界平和に対する女性の貢献の増大を目的とした国際連合国際女性年を設定したことを起源とする男女共同参画社会の実現を目指した運動のことである。

2. ジェンダー・バイアスとは女性と男性の間で政治的・経済的・社会的・文化的に格差が生じないようにするだけでなく性差によるあらゆる感覚や意識の違いについても解消すべきとする考え方を指す用語である。

3. 隠れたカリキュラムとは教えられる側の性別によって無意識のうちに教え方が偏ってしまうことを防止するための教育法規のことであり教えられる側に意識されないよう工夫されたものである。

4. シャドウ・ワークとは出産・子育てがしやすい社会の実現のため被用者が産前・産後の休業や育児休業を取得する際にその被用者が元々行っていた仕事を職場の同僚等が行うことを指す。

5. リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは1994年にカイロで開催された国際人口・開発会議において提唱された概念でありその中心課題にはいつ何人子どもを産むか産まないかを選ぶ自由安全な妊娠・出産子どもが健康に生まれ育つことなどが含まれている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
フェミニズムとは、女性解放思想、およびこの思想に基づく社会運動の総称です。思想、社会運動としてのフェミニズムの起源は、18C ヨーロッパの市民革命の一環とされています。「国際連合による国際連合女性年の設定」が起源ではないと考えられます。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ジェンダーとは、社会的性区別です。バイアスとは、偏りのことです。ジェンダー・バイアスとは、性差に関する社会的・文化的偏見です。「格差が生じないようにする」といった内容の用語ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
隠れたカリキュラムとは、学校文化において、知らないうちに学習されていく知識や文化のことです。その中にはジェンダーの問題や、階層、マイノリティへの社会的態度などが含まれます。「無意識のうちに教え方が偏ってしまうことを防止するための教育法規」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
シャドウ・ワークとは、賃金が発生しないが、社会・経済の基盤を支えるために必要不可欠な労働のことですイヴァン・イリイチの造語です。代表例が家事労働です。「産前、産後休や育休取得の差異に、同僚が代わりに仕事をすること」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
リプロダクティブ・ヘルス、リプロダクティブ・ライツに関する記述です。

以上より、正解は 5 です。

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