公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.59解説

 問 題     

社会調査に関する用語についての次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. コーディングとは、集計作業を容易にするため、被調査者の回答又は資料の各標識をいくつかのカテゴリーに分類し、それらのカテゴリーに対して数字などの一定の符号を定めた上で、個々の回答を符号化する作業のことである。

2. ワーディングとは、面接の際、被調査者が回答に躊躇などしている場合、回答を促すために探りを入れる補足的な質問のことである。意識を尋ねる質問では、被調査者の考えを反映した正確な回答が得られるが、事実に関する質問に限っては回答に偏りが生じやすい。

3. パーソナル質問とは、世間一般についての被調査者の意見を尋ねる質問であり、間接質問ともいう。社会規範に関わる質問の場合、被調査者個人の深層心理を掘り下げる質問であるインパーソナル質問とパーソナル質問との間で回答分布に端的に差が現れることが多い。

4. キャリーオーバー効果とは、被調査者が、調査票の最初に記された回答上の注意事項を詳しく読むことによって、後に置かれた全ての質問に対し、自分の考えなどを偏りなく、正確に答えられるようになることであり、社会調査においては望ましい効果の一つとされている。

5. ダブルバーレル質問とは、一つの調査票において、同じ趣旨の独立した質問が二つ以上含まれていることを指す。これらの質問に対する回答がそれぞれ異なる場合、どの回答が被調査者の真の考えを反映しているのか明らかでないため、質問を一つに統合する必要がある。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
コーディングについての記述です。

選択肢 2 ですが
ワーディングとは、表現や言い回しです。質問や選択肢における、わずかなワーディングの違いで回答が大きく異なる場合もあり、十分注意をする必要があります。「補足的な質問のこと」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
パーソナル質問とは、回答者自身に関わる行動や意見を求める質問です。世間一般についての意見を尋ねる質問は「インパーソナル質問」です。パーソナルとインパーソナルが逆です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
キャリーオーバー効果とは、「ある質問が、その後の質問の回答に影響を与えること」です。「最初の注意事項を詳しく読むことによって・・・」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
ダブルバーレル質問は、1 つの質問で 2 つの内容を問うことです。「あなたは優しくて臆病な人ですか?」といった質問です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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