公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.43解説

 問 題     

我が国の経済事情に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. 実質 GDP 成長率 (季節調整済前期比) は、2014 年4月の消費税率引上げに伴う駆け込み需要があったにもかかわらず、設備投資 (季節調整済前期比) のマイナスが継続していることから、2013 年 7-9 月期から 2014 年 4-6 月期にかけて4四半期連続でマイナスとなった。

2. 2013 年4月に日本銀行が導入した「量的・質的金融緩和」は、株式を中心とする資産の買入れを通じて、金融機関等が保有する株式を減らし、貸出金を増やすことを目指したものである。その結果、2013 年4月から 2013 年末にかけて、国内銀行の資産に占める貸出金の割合が大きく上昇する一方、日銀当座預金の割合は低下した。

3. 労働需給の強さを示す有効求人倍率 (季節調整値新規学卒者を除きパートタイムを含む。) は,2009 年末頃から改善傾向にあり、景気が緩やかに回復しつつある中で、2013 年 10-12 月期には1を超えた。これは、景気が持ち直す中で企業の求人数が増えたことに加え、求職していた人の就職が進展したことで求職者数が緩やかに減少したことによる。

4. 経常収支のうち、対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支状況を示す第一次所得収支についてみると、近年海外子会社株式等の対外資産残高が減少してきたことから、2000 年から 2014 年にかけて急激な減少傾向にある。

5. 環太平洋パートナーシップ (TPP) 協定交渉は、2010 年3月、我が国、シンガポール、米国、豪州、ペルーなどの 10 か国で開始され、2014 年末時点で計 24 か国が参加している。TPP の交渉分野としては、物品の関税の撤廃や削減に加えて投資や金融サービス等が含まれるが、知的財産、環境、労働などは除かれている。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
2014 年 4 月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の結果、実質 GDP 成長率は、2014 年 1-3 月期 2% 弱 となりました。それ以前もわずかながら プラス成長です。また、2014 年 4-6 月期において、個人消費は落ち込みましたが、設備投資が増加することで、需要減少をある程度相殺しました。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
日本銀行の「量的・質的緩和」とは、通貨供給量を増やしたり(量的緩和)、長期国債等の保有を通じて買入れ対象資産を多様化する(質的緩和)という施策です。この目的は物価上昇率 2% の達成です。デフレ脱却を意図したものです。「株式を中心とする資産の買入れを通じて」ではありません。また、「貸出金を増やすことを目指したもの」でもありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。

選択肢 4 ですが
第一次所得収支は、2000 年から 2014 年にかけて緩やかな上昇傾向にあります。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
TPP交渉は 2010 年3月に米国など8か国により開始されたものです。日本は同年 10 月に参加を表明しました。「我が国・・・などの 10 か国」で開始されたものではありません。また、知的財産、環境なども交渉分野として含まれています。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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