公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.21解説

 問 題     

権利の客体に関する ア~オ の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア. 民法において、物とは、気体や液体や固体のような有体物のほか、電気や著作権のような無体物を含むとされる。

イ. 不動産とは、土地及びその定着物をいい、土地の上にある石灯ろうは簡単に動かすことができるから、不動産ではないが、土地の上にある石垣は継続的に土地に付着して使用されるものであるから、不動産である。

ウ. 不動産以外は動産であるが、商品券のような、債権者を特定せず債権の成立・存続・行使が全て証券によってなされる無記名債権は、動産ではない。

エ. 家屋内にある畳は、社会的・経済的に見た場合、主物である家屋の効用を助けている従物であり、従物は主物の処分に従うから、家屋が売却された場合には、別段の意思表示がない限り,家屋内の畳も売却されたことになる。

オ. 家屋の利用の対価である家賃は法定果実であり、賃貸家屋の所有者の変更があった場合、賃料は所有権の存続期間に従い日割をもって新所有者が取得するから、賃料を毎月月末払いで支払う賃貸借契約において、月の途中で賃貸家屋の所有者の変更があったときは、旧所有者と新所有者との別段の合意があっても、新所有者は賃借人にその月の月末に賃料全額を請求することはできない。

1. ア、エ
2. ア、オ
3. イ、ウ
4. イ、エ
5. ウ、オ

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 ア ですが
民法 第 85 条によれば、物=有体物です。「無体物を含む」わけではありません。記述 ア は誤りです。

記述 イ は妥当です。
民法 第 86 条によれば、土地及びその定着物は、不動産です。

記述 ウ ですが
「物の中で不動産以外、動産」なので、商品券も形があるから有体物=物で、不動産ではないため「動産」です。記述 ウ は誤りです。※改正民法で条文削除された内容

記述 エ は妥当です。
主物、従物について、民法 第 87 条です。

記述 オ ですが
民法 第 89 条 2 項より、法定果実は、収取する権利の存続期間に応じ、日割計算により取得します。前半部分は妥当です。後半部分ですが、不動産オーナー A から 娘 B に所有権が移った場合のような、関係性の深い人物間における所有権の移動を考えます。このようなケースであれば、新所有者である娘にとりあえずその月の家賃を受け取ってもらって、後で家で分配した方が簡便です。別段の合意がある場合に、それでも全額請求できない、というのは不合理と考えられるのではないでしょうか。記述 オ は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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