公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.17解説

 問 題     

行政上の義務の履行確保に関する ア~オ の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。

ア. 行政刑罰は、刑法以外の法律に規定された犯罪であるが、刑法に刑名のある罰を科すものであるから、原則として刑事訴訟法の規定の適用がある。

イ. 行政刑罰と行政上の秩序罰を併科することは、二重処罰を禁止した憲法第39条に違反する。

ウ. 執行罰について、相手方が義務を履行するまでこれを反復して科すことは、二重処罰を禁止した憲法第 39 条に違反する。

エ. 直接強制は、法律を根拠規範としなければならず、条例を根拠規範とすることはできない。

オ. 地方公共団体の条例・規則違反に対する過料は、非訟事件手続法の規定により、他の法令に別段の定めがある場合を除いて、過料に処せられるべき者の住所地の地方裁判所によって科されることになる。

1. ア、ウ
2. ア、エ
3. イ、エ
4. イ、オ
5. ウ、オ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 ア は妥当です。
行政刑罰は、原則として刑法総則が適用され、裁判所が刑事訴訟法の定めに従って科刑します。

記述 イ ですが
秩序罰は刑罰ではありません。従って、併科 OK です。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
執行罰とは、行政上の強制執行の一つです。「将来行政上の義務を果たさせるために、過料を科し、心理的圧迫を与える」行為です。繰り返し科すことができます。記述 ウ は誤りです。

ちなみに
秩序罰は、繰り返し科すことができません。秩序罰の例としては「転入届の出し忘れ」などがあげられます。これで何度も何度も罰金を払わされるのはおかしいと感じるのではないでしょうか。

記述 エ は妥当です。
直接強制についての記述です。

記述 オ ですが
地方公共団体の条例・規則違反に対する過料(例:歩きタバコしたら罰金)は、地方公共団体の長による行政処分です。地方裁判所によって科されるわけではありません。記述 オ は誤りです。

※秩序罰として過料を科す場合、法律・条例の根拠が必要です。法令に基づいて科される過料(例:住所変更の届け出忘れ)は、非訟事件手続法に基づき裁判所が科します。

以上より、正解は 2 です。

コメント