公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.15解説

 問 題     

裁判所及び裁判官に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア. 憲法第 76 条の例外として、裁判官の弾劾裁判を国会の設ける裁判官弾劾裁判所で行うことや、国会議員の資格争訟についての裁判を各議院で行うことが認められており、これらの裁判に対して、更に司法裁判所へ出訴することは認められない。

イ. 憲法においては、最高裁判所の設置について明示がある一方、下級裁判所の種類、機構等については直接明示するところがないことから、統一的な法令解釈の運用が図られる限り、これらの事項については法律に委ねられているものと一般に解されている。

ウ. 行政機関の場合と同様に、下級審の裁判所は、上級審の裁判所の一般的な指揮命令に服することから、下級審の裁判に不服のある訴訟当事者が上級審に不服申立てをした場合に、上級審は、理由ありと認めるときは、下級審の裁判を取り消したり、変更したりする裁判ができる。

エ. 憲法第3章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、原則として公開して行う必要があるが、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあると決した場合には、公開しないで行うことができ、これに係る判決についても公開しないで行うことができる。

オ. 最高裁判所の裁判官は、 70 歳に達したときに退官するものとされており、その任命は 10 年の任期付きで行われ、再任されることができるものとされている。また、最高裁判所の裁判官は、弾劾裁判の対象とされ、国民審査に服することとされている。

1. オ
2. ア、イ
3. イ、エ
4. ウ、オ
5. ア、ウ、エ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 ア は妥当です。
弾劾裁判所は一審かつ終審です。

記述 イ は妥当です。
下級裁判所(最高裁判所以外の裁判所)については、憲法76条1項によれば「法律の定めるところにより設置する」とだけあり、直接明示されていません。

記述 ウ ですが
下級裁判所であっても、上級裁判所の指揮監督を受けることはありません。ただし、下級裁判所の裁判に不服のある当事者から上訴があったとき、上級裁判所は、下級裁判所の裁判の当否を審査する権限を有し、当該事件に関する限り、上級裁判所の判断が下級裁判所を拘束します。このような制度を審級制度と呼んでいます。記述 ウ は誤りです。

記述 エ ですが
憲法 82 条によれば、「憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、常にこれを公表しなければならない。」とあります。また、裁判官の全員一致で、公序良俗を害するおそれがあるために非公開とできるのは「対審」です。判決を非公開で下すことはできません。記述 エ は誤りです。

記述 オ ですが
最高裁判所と簡易裁判所は定年 70 歳です。最高裁裁判官は、任命後初の衆議院総選挙の際、及びそれから 10 年ごとに国民審査に付されます。憲法 80 条によれば、任期 10 年、再任 OK であるのは、下級裁判所の裁判官です。記述 オ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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