公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.14解説

 問 題     

内閣に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア. 衆議院の解散又は衆議院議員の任期満了のときから、衆議院議員総選挙を経て初めて国会が召集されるまでの期間において内閣総理大臣が欠けた場合、内閣は、衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときではなく、直ちに総辞職するのが先例である。

イ. 内閣は、法律を誠実に執行し、また、憲法を尊重し擁護すべき義務を負っていることから、最高裁判所が違憲と判断しなくとも、憲法上の疑義を理由に法律の執行を拒否することができると一般に解されている。

ウ. 国務大臣は、その在任中に、内閣の同意がなければ訴追されず、当該同意に基づかない逮捕,勾留は違法であり、当該訴追は無効となる。ただし、訴追の権利は害されないとされていることから、訴追に内閣の同意がない場合には公訴時効の進行は停止し、国務大臣を退職するとともに訴追が可能となると一般に解されている。

エ. 内閣は、国会に対し責任を負うとされているが、各議院が個別的に内閣に対して責任を追及することを排除する趣旨ではなく、例えば、内閣に対して、総辞職か議院の解散かの二者択一を迫る決議案は、衆議院及び参議院のいずれにおいても提出することができる。

オ. 内閣は、閣議によりその職権を行使するものとされている。内閣総理大臣は内閣の首長であるとされているものの、閣議は全員一致によるものと法定されており、ある国務大臣が閣議決定に反対した場合は、当該国務大臣を罷免しない限り、内閣は職権を行使することができないため、総辞職することになる。

1. ア
2. ウ
3. イ、エ
4. ア、ウ、オ
5. イ、エ、オ

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

記述 ア は妥当です。
先例とは、大平内閣です

記述 イ ですが
憲法 73 条第1項が、内閣の法律誠実実行義務を規定しています。そこで、違憲である法律の執行は拒否できるかが問題になりますが、一般に、内閣は自ら法律が違憲か否かの判断をして、執行拒否をすることはできません。仮に意見だった場合の内閣の態度としては、法律をそのまま執行する、ということになります。ただし、法律廃止案を国会提出することはできます。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
憲法 75 条は「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。」です。「内閣の同意」ではありません。記述 ウ は誤りです。

記述 エ ですが
憲法 69 条により、議院の解散 or 内閣総辞職 となる不信任決議案 は「衆議院」が提出するとされています。参議院も内閣不信任案を提出できますが、こちらはあくまでも問責決議であり、法的拘束力はないものとされています。

記述 オ ですが
内閣法 4 条により、「内閣がその職務を行うには閣議による」と定められています。そして、閣議の議事及び議決方法は憲法、法律に規定なく、慣行に委ねられています。「閣議は全員一致によるものと法定されている」わけではありません。記述 オ は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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