公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.10解説

 問 題     

規制改革に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. 実情に合わなくなった国の規制について、地域を限定して改革することにより、構造改革を進め、地域を活性化させることを目的として平成 14 (2002) 年度に創設された構造改革特区は、都道府県では申請が認められたものもあるが、市町村では今まで認定を受けた自治体はない。

2. 国民生活等の安定等のため確実に実施されることが必要な事務・事業のうち、国が直接に実施する必要のないものを効率的に行わせることを目的として、独立行政法人が設立されており、所属する職員は全て国家公務員の身分を持ちつつ、法人としての会計を独立させることにより、効率化を図る仕組みがとられている。

3. 経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点の形成を促進する観点から、平成 25 (2013) 年 12 月に「国家戦略特別区域法」が成立し、既に複数の区域が国家戦略特別区域として国の指定を受けている。

4. 民間企業の持つ経営ノウハウを公の施設の運営に取り入れることを目的として、平成 15 (2003) 年に民間の資金と経営能力・技術力を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う指定管理者制度が導入された。

5. 国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現するため、平成 18 (2006) 年に「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」が成立し、従来行われていた官民競争入札・民間競争入札の制度は廃止されることとなった。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
市町村で認定を受けたものとして、酒税法の規制を緩めて民宿などでどぶろく製造を認める「どぶろく特区」などがあります。「市町村では今まで認定を受けた自治体はない」というわけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
独立行政法人に所属する職員は、公務員のままの身分である独立行政法人もあれば、そうでないものもあります。(H26no9)。「全て国家公務員の身分を持ちつつ・・・」という記述は妥当ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
国家戦略特別区域についての記述です。

選択肢 4 ですが
記述は PFI(Private Finance Initiative)制度についてです。指定管理者制度は、施設管理を民間に委託する制度です。ただし、PFI で建設した施設に、指定管理者を指定するといった場合もあります。形式的な違いとして、PFI は契約を行い、指定管理者制度は行政処分を行います。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」は、公共サービスに関し、業務を選定して官民競争入札又は民間競争入札に付することにより、公共サービスの質の維持向上及び経費削減を図る改革(以下「競争の導入による公共サービスの改革」という。)を実施するため、必要な事項を定めることを目的とした法律です。「従来行われていた官民競争入札・民間競争入札の制度は廃止」ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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