公務員試験 H26年 国家専門職(食品衛生監視員) No.4毒性学Ⅱ(1)解説

 問 題     

薬物・毒物の代謝に関する次の記述のA~Jに当てはまるものを語群から選び出し、それぞれの番号を記せ。なお同じものを複数回用いてもよい。

「生体内に取り込まれた薬物・毒物の代謝反応は酸化還元A による第Ⅰ相反応とB による第Ⅱ相反応に大きく分けられ一般に極性をC くすることにより薬物・毒物を体外に排泄しやすくする。

主に肝臓のD 画分に存在する薬物代謝型のシトクロム P450 はE 反応を行う酵素であり基質特異性がF い。フェノバルビタールやフェニトインはシトクロム P450 をG しグレープフルーツジュースはシトクロム P450 のうちHの作用をI することが知られている。また喫煙はシトクロム P450 の作用をJ する。」

<語群>①脱メチル化、②エステル化、③加水分解、④一原子酸素添加、⑤嫌気的脱水素、⑥抱合、⑦縮合、⑧重合、⑨高、⑩低、⑪ミクロソーム、⑫ミトコンドリア、⑬誘導、⑭阻害、⑮CYP2C9、⑯CYP2D6、⑰CYP3A4

 

 

 

 

 

 解 説     

薬物・毒物の代謝に関する次の記述のA~Jに当てはまるものを語群から選び出し、それぞれの番号を記せ。なお同じものを複数回用いてもよい。

「生体内に取り込まれた薬物・毒物の代謝反応は酸化還元A による第Ⅰ相反応とB による第Ⅱ相反応に大きく分けられ一般に極性をC くすることにより薬物・毒物を体外に排泄しやすくする。

主に肝臓のD 画分に存在する薬物代謝型のシトクロム P450 はE 反応を行う酵素であり基質特異性がF い。フェノバルビタールやフェニトインはシトクロム P450 をG しグレープフルーツジュースはシトクロム P450 のうちHの作用をI することが知られている。また喫煙はシトクロム P450 の作用をJ する。」

<語群>①脱メチル化、②エステル化、③加水分解、④一原子酸素添加、⑤嫌気的脱水素、⑥抱合、⑦縮合、⑧重合、⑨高、⑩低、⑪ミクロソーム、⑫ミトコンドリア、⑬誘導、⑭阻害、⑮CYP2C9、⑯CYP2D6、⑰CYP3A4

吸収、分布を経て薬物分子は代謝を受け、化学的に変化します。代謝の担い手は、酵素です。薬物代謝に関与する、最も重要な酵素がCYP(シトクロムP) 450 です。代謝を受ける理由は『薬物分子を、「水溶性物質 = 極性が高い物質」に変化させて体外へ排出しやすくするため』です。

代謝は大きく2つの反応に分類されます。第Ⅰ相反応と、第Ⅱ相反応です。第Ⅰ相反応とは、酸化、還元、「加水分解」 などです。第Ⅱ相反応とはグルクロン酸抱合などの、「抱合」反応です。抱合反応 とは「水溶性分子(例)硫酸、グルクロン酸 など)がくっつく反応」という意味です。

シトクロム P450 は、主に肝臓の「ミクロソーム」画分に存在します。「一酸素原子添加」酵素系の酵素です。ミクロソーム中の P450 は、「基質特異性が低く」、異物代謝の多くを担います。

P450 は、薬物等により誘導や阻害を受けます。例えば、フェノバルビタールやフェニトインは P450 を「誘導」します。喫煙も P450 のサブタイプの一種 CYP1A2 等を「誘導」します。一方、GFJ(グレープフルーツジュース)等は P450 のうち 「CYP3A4」 を「阻害」します。

以上より
A 加水分解 ③
B 抱合 ⑥
C 高 ⑨
D ミクロソーム ⑪
E 一原子酸素添加 ④
F 低 ⑩
G 誘導 ⑬
H CYP3A4 ⑰
I 阻害 ⑭
J 誘導 ⑬ です。

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