公務員試験 H26年 国家専門職(食品衛生監視員) No.1分析化学Ⅰ(2)解説

 問 題     

酸や塩基に関する記述 ①~⑤ について、妥当なものには ○ を、妥当でないものには × をそれぞれ記せ。

① 硫酸は、マグネシウムや亜鉛と反応して酸素を発生する。

② 酸や塩基の電解質を溶媒中に溶解した際に、電離している物質の割合を電離度という。

③ 同じモル濃度の塩酸は、ギ酸に比べて電離度が小さく電気を通しやすい。

④ 水のイオン積は、温度が高くなるにつれて大きくなる。

⑤ アレニウスは「酸は Hを与えることができる物質であり、塩基は Hを受け取ることができる物質である。」と定義した。

 

 

 

 

 

 解 説     

①ですが
酸素ではなく、発生するのは「水素」です。

②は、正しい記述です。
割合なので0~1の間の数値をとります。

③ですが
一般的に、電離度が大きいほど電気を通しやすくなります。
また、塩酸は、強酸の代表例の一つです。酸の強い弱いは、電離度が1に近いかどうかできまり、1に近い方が強いです。従って、塩酸の電離度が小さい というのは明らかに誤りと考えられます。

④ですが
「0~100℃、1気圧における話」といった制限が本当は必要な記述なのですが
出題の意図としては妥当な記述と考えられます。一般的な条件下においては、水のイオン積、つまり水の自己解離により生じる [H+][OH]の積は、温度が高くなるにつれて大きくなります。この理由については、温度が大きい方がなんとなくわかれやすいといった理解でもいいですし、H2O→H++OHが吸熱反応なので、高温の方が、右に平衡がずれる という理解でもよいです。

⑤ですが
この記述は「ブレンステッド・ローリー」による定義です。アレニウスによる定義は「H+イオンを放出すれば酸、OHイオンを放出すれば塩基」です。

以上より、①☓、②◯、③☓、④◯(?)、⑤☓です。

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