公務員試験 H26年 国家専門職(教養) No.32解説

 問 題     

酸や塩基に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. レモンの汁、食酢、アンモニア水などは酸性であり、青色のリトマス紙を赤くする性質を示す。一般に酸とは水に溶けて水酸化物イオンを生じる物質であると定義されている。

2. 油脂を水酸化ナトリウムの水溶液中で加熱するとけん化が起こってナトリウム塩ができる。こうしてできた塩はセッケンと呼ばれ水に溶かすと弱塩基性を示す。

3. 通常の雨水は大気中の酸素が溶け込んでいるため弱酸性を示すがそれよりも酸性の強い雨を酸性雨という。酸性雨の主な原因は化石燃料の燃焼によって生じる塩素化合物である。

4. カルボキシ基(-COOH)をもつ化合物をカルボン酸という。代表的なものにはヨーグルトに含まれる乳酸、アルコール飲料に含まれるエタノール、コーヒーに含まれるカフェインがある。

5. 炭酸水素ナトリウムは重曹とも呼ばれ使い捨てカイロや入浴剤などに利用されている。水に溶けると弱酸性を示しこの水溶液に塩基を加えると水素が発生する。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、酸の定義の一つとして「水に溶けて水素イオンを生じる物質」があります。水酸化物イオンを生じる物質 というのは「塩基」の定義の一つです。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、妥当な記述です。

選択肢 3 ですが、大気中の「酸素」ではなく「二酸化炭素」が溶けて弱酸性を示す雨水が酸性雨です。主な原因は、「塩素化合物」ではなく、「窒素化合物(NOx)」や「硫黄化合物(SOx)」です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、乳酸以外がカルボン酸ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

繰り返し出題されているのが「ヒドロキシル基(ーOH)を有する化合物がアルコール」との混同を狙った選択肢です。ぜひこの問を目にするのをよい機会として、「カルボキシ→COOH→乳酸」「ヒドロキシ→OH→エタノール」をびしっと覚えておくとよいです。

選択肢 5 ですが、炭酸水素ナトリウムは水に溶かして弱塩基性です。よって誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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