公務員試験 H26年 国家一般職(農学) No.8解説

 問 題     

イネの生育に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 種は、水分、温度、光が適正な条件にあると発芽し酸素は影響を及ぼさない。しかし収穫直後の種子はこれらの条件が満たされても発芽せず休眠状態にある。冷蔵庫で5℃ 前後に冷却して4~5日放置するなどの処置により休眠が打破される。

2. 種は玄米が充実して重いものほど発芽率が良く素質の良い苗が得られる。そこで保存しておいた種を1.5~2.0g/cm3 の密度(比重)に調整した塩水やショ糖溶液につけて選種を行う。これらの方法を塩水選又は比重選という。

3. 苗は規則正しく葉の数を増やしていくので苗の葉の数によって成長時期を表すことができる。これを葉齢といい水稲の苗は一般に葉齢によって乳苗稚苗中苗成苗に分類される。機械移植では育苗箱で育てるマット苗が用いられ一般に稚苗中苗が用いられる。

4. 主茎の下位節からは分げつが1本ずつ出る。ある葉が伸長するときにその葉より1枚下の葉の節から分げつが出現する(同伸葉同伸分げつ理論)。分げつ数が最大になる時期を最高分げつ期という。その後一部が枯死するが収穫時に枯死せずに生き残った分げつを穂の有無にかかわらず有効分げつという。

5. 出穂20~15日前になると茎の成長点に穂のもと(幼穂)ができ始める。その時期を幼穂分化期という。幼穂長が2~3mm になると茎の節間が伸び始める。出穂10~7日前から出穂期までは穂が大きくなって葉梢がふくれる。そして穂首節間の伸長により出穂する。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
発芽に光は不要です。「水分、温度、酸素」です。また、休眠打破は 40 ~ 50 ℃ での温度管理で行うのが一般的です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
塩水選の比重は 米の種類にもよりますが、およそ 1.1 前後です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
「同伸葉同伸分げつ理論」は、主茎から N 本葉が出ると、Nー3 枚目の葉の腋から 1 次分げつの葉が伸びてきて同時に伸びていく という法則です。また、「穂がつく分げつ」が「有効分げつ」です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
幼穂分化期は、出穂 30 日前頃です。20~15 日前ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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