公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.59解説

 問 題     

犯罪被害者等施策及び現状に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 犯罪被害者等基本法は、犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するため制定されたもので、犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的としている。

2. 犯罪被害者等による公判記録の閲覧・謄写は原則として認められていないが、検察審査会に申し出て、正当な理由があり、かつ相当であると判断された場合には認められる。

3. 犯罪被害給付制度は、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪等に係る刑事事件の被害者等が,裁判所に対し、損害賠償を被告人に命ずることの申立てができるというものである。

4. 犯罪被害者等に対し、判決確定後の加害者に関する、刑の執行終了予定時期や刑事施設における処遇状況などについて通知が行われている。しかし、保護処分を受けた少年に関する、少年院での処遇に関する事項などの通知は、少年のプライバシー保護等の観点から行われていない。

5. 法務省法務総合研究所が 2012 (平成24) 年に行った調査*1 によれば、犯罪の被害態様別に過去5年間の被害申告率*2 を見ると、強盗等*3、 自動車盗、性的事件のうちでは性的事件が最も高い。

(注)*1 安全・安心な社会づくりのための基礎調査(第4回犯罪被害実態(暗数)調査)
*2 被害に遭った世帯又は個人のうち被害(同一の被害態様で複数回ある場合は直近のもの)を捜査機関に届け出た比率をいう。
*3 恐喝及びひったくりを含む。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
第 3 条によれば、原則認められており、相当でない場合に認められないです。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
犯罪被害給付制度は、社会の連帯共助の精神に基づき、国が給付金を支給し、その精神的、経済的打撃の緩和を図ろうとする制度です。「損害賠償を被告人に命ずる申立ができる制度」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
被害者等通知制度において、加害者は「少年」を含みます。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
性的事件が申告しづらいものと推測できるのではないでしょうか。強盗等が最も多くなっています。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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