公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.56解説

 問 題     

階級・階層に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 階級対立の制度化とは、職業や社会的地位などが異なる集団の間において生じた争いの結果、優位に立った側の論理が正当化されることをいう。

2. 競争移動とは、社会的地位の上昇移動や社会的エリートの選抜が公正なルールの下での競争によって行われることを是認・奨励する規範及びその種の移動様式をいう。

3. 旧中間層とは、物の生産に直接従事せず、専ら生産の組織化や生産場面での人間関係の調整などに従事する階層をいう。これに対し、新中間層とは、資本家、賃金労働者のいずれにも属さない,自営農民層や都市商工自営業層などを指す。

4. K. H. マルクスは、生まれながらの身分や属性による地位決定ではなく、各個人の成し遂げた業績に基づいて職業や地位が獲得され、人々は教育や訓練、熟練を積み重ねることによって職業を変え階層的地位を移動することができるとした。

5. M. ヴェーバーは、社会成層の規定要因として経済的要因に着目し、社会の構造とその変化は
生産力と生産関係によって決定されると考え、階級を、生産関係において共通の地位を占める
人々の集合として捉えた。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
階級対立の制度化とは、階級対立という概念が共有、パターン化されることです。「争いの結果優位に立った側の論理が正当化されること」ではありません。この記述は「正当化」についての記述と思われます。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。

選択肢 3 ですが
旧中間層の代表例は自作農です。産業革命以前から存在し、資本を少し持っている点が特徴です。新中間層の代表例はサラリーマンです。賃金労働者のうち、事務・サービス業務等の従事者などです。記述が逆と考えられます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
格差・階層化に関する代表的2つのモデルが、K.マルクスの階級論と、ソローキンが提唱した成層論です。マルクスの階級論では、生産手段の所有・非所有に基づき二大階級(資本家と労働者)が表れるとしました。一方、社会的資源配分、人々の社会移動に応じて複数の階層が形成されていくと考えたのが成層論です。記述は成層論についてであり、マルクスの論じた内容ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
M.ウェーバーは複合的指標に基づく多元的階級論を提唱しました。すなわち、マルクスがシンプルに生産手段の所有・非所有に注目したことをふまえ、それだけでない差異からも派生するとしました。「生産力と生産関係によって決定される」と考えたわけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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