問 題
F. テンニースが提起したゲマインシャフトの概念についての説明として最も妥当なのはどれか。
1. フォーマルな組織内に生じるインフォーマルな集団のことであり、人間の相互接触のあるところではどこにでも発生する、日常的な付き合いのまとまりである。
2. 特定の類似した関心や目的を持つ人々が、それらを達成するために意図的に結合し形成する人為的集団のことである。例として、学校、営利団体が挙げられる。
3. 人が自分自身を関連付けることによって、自己の態度の形成や変容に影響を受ける集団である。過去に所属したことのある集団もこの中に含まれる場合がある。
4. 個人にとって結び付きが弱く、あるいは競争・闘争などの対立関係にあり、「彼ら」、「よそもの」として捉えられる人々のことである。
5. 人間の有機的で自生的な感情的一体性に基づく結合であり、人々はここでパーソナルで全人格
的な結合をしている。例として、家族、村落が挙げられる。
正解 (5)
解 説
近代社会において、世界中で「公共空間」と「親密空間」が分断される現象が見られました。ドイツのテンニースが大都市において、家族や村落とは異なるタイプの共同生活が生まれつつあることに注目し、家族や村落のような「信頼に満ちた親密な水いらずの共同生活」をゲマインシャフト、「特定の目的を達成するための共同体」をゲゼルシャフトと呼び、区別しました。マイン → mine → 私のもの → 家族 と連想すると忘れにくいかもしれません。
これをふまえて、各選択肢を検討すると
「有機的で自生的な感情的一体性に基づく結合」、「パーソナルで全人格的」、「例として家族、村落」とあり、選択肢 5 が正しいと判断できます。
以上より、正解は 5 です。
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