公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.54解説

 問 題     

現代における社会学に関する用語についての記述として最も妥当なのはどれか。

1. 構造主義とは、文化や歴史の個々の事象を、その社会や時代の全体的な枠組みをなす構造やシ
ステムから理解しようとする考え方である。

2. 社会構築主義とは、社会を構築している諸要素の中に社会問題が内在しているとする考え方で,
どのような社会においても問題となる事象や事柄は共通であるとの立場をとる。

3. 現象学的社会学とは、社会内で発生した現象を、物理的な現象と同様に人々の認識や意識にか
かわらず生成・存在すると捉え、客観的に分析しようとする社会学の方法である。

4. エスノメソドロジーとは、時代や空間を超えて普遍的に見られる倫理を見いだし、人間の社会
性を明らかにしようとする学問の方法である。

5. ポストモダニズムとは、近代社会を支えてきた啓蒙思想や科学に対する信頼を前提に、これら
の発展が現代社会における人類の諸問題を解決するという考え方である。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は、妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
社会構築主義とは「社会問題が、それを問題であると定義する活動により構築されていくものである」という考え方です。「内在している」という考えではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
現象学的社会学とは、哲学におけるフッサールの現象学的アプローチを社会学に応用する立場です。アルフレッド・シュッツが提唱したとされています。日常的生活社会が対象です。人々の認識や意識を通じて社会的現実が理解されるという観点からのアプローチといえます。「物理的現象と同様に、・・・認識や意識にかかわらず生成・存在する」と捉えるアプローチではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
エスノメソドロジーとは、日常生活を構成する方法=エスノメソッド を研究する社会学です。創始者はガーフィンケルです。「時代や空間を超えて普遍的に見られる倫理を見いだ」す方法ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
ポストモダニズムとは、近代主義や啓蒙思想を批判、脱却しようとする考え方のことです。「信頼を前提に・・・解決する」という考え方ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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