公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.29解説

 問 題     

次は、1975 年に報告されたある社会心理学の実験に関する記述であるが、A B に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

<実験概要>
手続:この実験は、昼間、大学のキャンパスを一人で歩いていた72人の大学生を対象に行われた。実験では三つの実験条件を設定し、各条件に参加者を24人ずつ振り分けた。実験者は,大学生に近づき、地域の青少年カウンセリング・プログラムのメンバーであると自己紹介した後、以下の条件に基づいて依頼を行った。

〔条件①〕第一依頼を行い、実験参加者がそれを拒否したら、実は別のプログラムもあると言って第二依頼を提示した。
〔条件②〕最初から第二依頼のみを提示した。
〔条件③〕第一依頼、第二依頼の順で両方を提示した後、どちらのプログラムに参加して
くれるかを実験参加者に尋ねた。

依頼内容:
〔第一依頼〕現在地域の非行少年の施設でボランティアとして活動してくれる大学生を募集していること、週に2時間、少なくとも2年間活動してほしいこと、施設で一人の少年少女に対して指導員として活動してほしいことを伝えた。
〔第二依頼〕地域の非行少年の施設にいる少年少女を動物園に連れて行く付き添い役を募っており、ある1日の午後か夕方の2時間ほど、ボランティアとしてお願いしたいことを伝えた。

実験結果:第一依頼に応諾した大学生は一人もいなかった。第二依頼に応諾した大学生の人数比
率は、条件 ① が 50.0 %、条件 ② が 25.0 % 条件 ③ が 16.7 % であった。

<実験に関する記述>
この実験において、条件 ① における第二依頼への応諾率(50.0%)と、他の二つの条件を合わせた第二依頼への応諾率(20.8%)を比較したところ、前者の方が高いことが認められた。この結果は,応諾獲得方略の一つである A の有効性を示すものであり、応諾が生じる背景について、依頼者が譲歩したので、依頼の受け手も譲歩せざるを得ない気分になったという譲歩の B に基づく解釈がなされている。

  A       B
1. ドア・イン・ザ・フェイス法 返報性
2. ドア・イン・ザ・フェイス法 対等性
3. フット・イン・ザ・ドア法 対等性
4. ロー・ボール法 返報性
5. ロー・ボール法 対等性

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

依頼内容を見ると、第一依頼は、いきなり見ず知らずの人から「2年間、週に2時間活動し、1人の少年少女に対し指導員として活動してほしい」と言われる依頼です。同意するとは思えない条件です。これに対して断ったのちに、比較すると非常に軽い条件である第二依頼を呈示されると、初めから第二依頼を出したり、両方を同時にだすよりも承諾する割合が明らかに多くなったという実験です。

記述 A ですが
「ドア・イン・ザ・フェイス法」とは、本命の要求を通すために、初めは過大な要求を出し、断らせることで「借り」を感じさせ、返報性の心理として、なにかしら返したいという状況を作り、その後の要求を通しやすくするという方法です。本問実験が有効性を示している方法として妥当です。

「フット・イン・ザ・ドア法」は、はじめに承諾しやすい条件を出し、だんだんと要求を高くしていき、「~がいいなら、~~もいいはずですよね。」と要求していくことで、一貫性の原理により断りづらくさせるという手法です。本文実験が有効性を示しているとは考えられません。

「ロー・ボール法」は、はじめに承諾しやすい条件を出した上で、都合の悪い条件を付け足したり、一部の条件を取り下げるという手法です。フット・イン・ザ・ドア法と同様、一貫性の原理により断りづらくさせる手法です。本文実験が有効性を示しているとは考えられません。

以上より、正解は 1 です。

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