公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.22解説

 問 題     

オペラント条件づけにおける強化と罰に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 条件づけに用いられる強化子には、それが出現することで反応の出現頻度が上がる正の強化子と、それが消失するかその出現が延期されることで反応の出現頻度が上がる負の強化子がある。正の罰には後者が用いられる。

2. ある反応に対して正の強化子を与え、その反応頻度を増大させた後、その反応をしても正の強化子を与えないようにすると、反応頻度は徐々に減少し、初期の水準に戻る。この手続を負の罰という。

3. 行動療法の一つであるトークンエコノミーでは、望ましい行動を取った対象者にチップやシールなどのトークンを与えることで、その行動の強化が図られる。トークンは、それを与えられることが対象者の満足につながる一次強化子である。

4. 反応を抑制するのに必要十分な強度の罰を最初から与えるよりも、弱い罰から段階的に強めていく方が、より弱い罰で反応を抑制することができる。

5. 罰の手続においては、反応に対して毎回罰を与えるよりも、罰を与えたり与えなかったりする間欠強化スケジュールの手続を用いた方が、罰の随伴性に対して鋭敏になるため、罰による反応の抑制効果が高い。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

オペラント条件づけは、自発的行動である「オペラント行動」に対し、報酬や罰を与え、行動頻度を変える一連の手続きです。レバーを押すと餌が出るスキナー箱が代表的実験装置です。

選択肢 1 は妥当な記述です。
初めの一文における正の強化子、及び負の強化子に関する定義は正しい記述です。そして、罰がなくなれば、反応の出現頻度が上がります。なくなって反応の頻度が上がるのは、負の強化子です。後半も妥当です。

選択肢 2 ですが
弁別刺激→反応→強化刺激 という流れが形成された後に、刺激があって反応をしても結果が伴わなくなることにより、反応頻度が減少し、やがて反応しなくなることは「消去」です。負の罰は、いわゆる電気的刺激です。負の罰は、負の弱化ともいいます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
トークン・エコノミーは、望ましい行動に対し、代用貨幣であるトークンを正の強化子として与え、望ましい行動強化を図る技法です。トークンの例は、シールなどです。トークンがあつまると、好ましい品物などのバックアップ強化子と交換できます。トークンはあくまで代用貨幣です。二次強化子です。対象者の満足に無条件でつながる一次強化子ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
弁別刺激→反応→罰として弱い罰 から初めて段々罰を強めていく という方法なので、むしろ最初であれば必要十分な強度の罰であっても、慣れていくことでより強い罰が必要になると考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
反応のたびに確実に罰が来ると「これをやったら罰が来る」と学習するのですが、罰を与えられたり与えられなかったりしたら、来ないかもしれないよねと考えて反応抑制につながりにくいと考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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