公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.18解説

 問 題     

精神医学領域における解離に関する記述 A~E のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

A. 解離とは、ヒステリーによる意識消失やもうろう状態などと区別するために、ジャネ(Janet, P.)が提唱した概念である。

B. 解離性障害は、一過性に意識の解離を示す精神障害の総称であり、知覚や身体機能の統制は失われず、意識の統合機能、記憶、同一性感覚などの障害が見られる。

C. 解離性障害は、症状の程度により軽い方から解離性健忘解離性とん走解離性同一性障害といった一連のスペクトラムに位置付けられる。

D. 解離性同一性障害は児童虐待のような反復性の外傷体験との関連が指摘されている。一方、通常の解離性障害は一回限りの外傷体験でも生じるとされる。

E. 解離性健忘は、部分的健忘と全生活史健忘に分けられる。そのうち、全生活史健忘では、自分の氏名、生年月日、過去の生活史のほか、社会知識や一般知識など幅広い範囲で記憶障害が生じる。

1. A B
2. C D
3. D E
4. A B D
5. B C D

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 A ですが
ジャネさんは、フロイト,S.と同時代の力動精神医学を確立した人です。ヒステリー研究です。ヒステリーは、解離という概念の始まりとされています。「ヒステリーやもうろうと区別するために解離を提唱した」という記述は誤りです。

記述 B ですが
解離性障害とは、通常は統合されている心的機能である意識、記憶、知覚、行動などの統制が喪失されることです。意識や記憶を自分と切り離す防衛機制の一種です。「知覚や身体機能の統制は失われず」という部分が明らかに誤りと考えられます。

記述 C,D は妥当な記述です。

記述 E ですが
解離性健忘における全生活史健忘は、自分に関する全ての記憶を失うという記憶障害です。社会知識や生活に必要な一般知識は保たれています。記述 E は誤りと考えられます。
以上より、正解は 2 です。

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