公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.66解説

 問 題     

J.A.コンドルセの提案又は主張に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 知育と訓育とを厳密に区別し、知育とは確実な知識のみを対象とするのに対して、訓育とは宗教的政治的意見を対象とする教育のことであるとした。そして公教育のカリキュラムにおいては,教育の対象を、学問の教育ではなく、規律・道徳宗教に限定しなければならないと主張した。

2. 教会による教育の独占を打開し、国家による教育改革が緊急の課題であると訴え、彼の思想を体現したモデル校として、ドイツのデッサウに汎愛学院 (汎愛学舎) を開設した。汎愛とは、人間愛に起源をもつ言葉であり、汎愛学院では、現世内的人間の幸福の尊重を目指す教育が行われた。

3. 「公教育の全般的組織についての報告と法案」の中で、「公教育は国民に対する社会の義務である。」と述べ、教育機会を平等に保障するために、男女共学、単線型、無償制にすることなどを公教育制度の原則として提案した。

4.『教育学講義』の中で、「人間は教育されなければならない唯一の被造物である。人間は教育によって、はじめて人間となることができる。人間は、人間によってのみ教育される。」と述べ、教育は人間によって、意図的かつ意識的になされなければならないと主張した。

5. 「ドイツ国民に告ぐ」の連続講演の中で、国民とは、国家にとって不可欠な構成員であり、しかもそれは初めから存在するものではなく、教育によってつくりださなければならないものと主張した。この国民教育の思想は、学校教育が義務教育として制度化されていく時に、重要な思想として制度構想に大きな影響を与えた。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

コンドルセ「近代公教育のパイオニア」と呼ばれ、無料、男女共学、政府による責任を持った義務教育といった主張を行いました。代表的著作が「公教育の全般的組織についての報告と法案」です。

選択肢 1 ですが
知育に対し訓育は、「人格形成」といった意味の用語です。「宗教的政治的意見を対象とする教育」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ドイツのデッサウ汎愛学園を開設したのはバゼドウです。コンドルセではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
コンドルセについての記述です。

選択肢 4 ですが
「教育学講義」は、カントの弟子リンクによりまとめられた、カントによる講義内容です。コンドルセに関する記述ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
「ドイツ国民に告ぐ」は、フィヒテの著作です。ドイツ観念論を大成したカントの後継者として、フィヒテは位置づけられます。コンドルセについての記述ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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