公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.53解説

 問 題     

ヨーロッパ統合に関する ア~エ の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア. 1952 年、欧州石炭鉄鋼共同体 (ECSC) 加盟6か国は、超国家的なヨーロッパ軍の創設をも目指す欧州防衛共同体 (EDC) の設立条約に署名した。この条約はフランス政府が主導するものであったが、迅速な西ドイツの再軍備を望む米国が同条約に強い反対の姿勢を示した。そこで,ベネルクス諸国がフランスを説得した結果、同条約の批准は見送られ、EDC は設立しなかった。

イ. 1970 年代から 80 年代前半、欧州共同体 (EC) は統合の停滞、石油危機の結果長期化した不況、失業の増大、先端技術分野での日米への遅れという深刻な状況に直面していた。1985 年に EC 委員長に就任した J.ドロールは、この状況を打破すべく、域内市場統合を提唱した。1986 年に採択された単一欧州議定書は、1992 年末までに「人・物・資本・サービスの自由移動が保証された域内国境のないヨーロッパ」を完成させるとした。

ウ. 1998 年、サンマロにおける英仏首脳会談は、欧州連合 (EU) 加盟諸国による欧州安全保障防衛政策 (ESDP) の進展に寄与した。しかし、2003 年3月のイラク戦争に至る過程では、米国と同様にイラクに対する武力行使を支持する英国やスペインが、それに反対するフランスやドイツと対立した。そこで同年 12 月のブリュッセル欧州理事会は、J.ソラナ共通外交・安全保障政策 (CFSP) 上級代表がまとめた「欧州安全保障戦略」という文書を採択して、EU 諸国の再結束を図った。

エ. EU の主要機関としては、欧州理事会、欧州委員会、欧州議会などがある。我が国と EU との定期首脳協議に際しては、EU の「首脳」として、欧州理事会議長と欧州委員会委員長が出席している。欧州議会は、特定分野の立法における理事会との共同決定権、EU 予算の承認権などを有している。2012 年に EU がノーベル平和賞を受賞した際には、H.ファン=ロンパイ欧州理事会議長、J.バローゾ欧州委員会委員長、M.シュルツ欧州議会議長の3人が、メダルや賞状を受け取った。

1. イ
2. ア、エ
3. ウ、エ
4. ア、イ、ウ
5. イ、ウ、エ

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

記述 ア ですが
第 1 文は妥当です。欧州防衛共同体構想は、西ドイツの再軍備を促しかねないと考えたフランス議会の反対により、フランスが批准に失敗したことにより破綻しました。記述 ア は誤りです。

記述 イ は妥当です。
EU 創出へつながる流れについての記述です。

記述 ウ は妥当です。
欧州安全保障戦略についての記述です。

記述 エ は妥当です。
EU についての記述です。

以上より、正解は 5 です。

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