公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.17解説

 問 題     

取消訴訟に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア. 高知県高知市にある国の出先機関Aが、徳島県徳島市在住のBから開示請求を受けたA保有の行政文書について不開示の決定を行った場合、Bは同決定の取消しを求めて出訴することができるが、被告となる国を代表して訴訟の遂行に当たるのは法務大臣とされていることから、その出訴することができる裁判所は、法務省の所在地を管轄する東京地方裁判所に限られることとなる。

イ. 取消訴訟における狭義の訴えの利益は、取消しにより確実に生ずることになる実体的利益であることが必要であり、同一の放送用周波の競願者に対する免許処分について、再審査の結果原告に免許が与えられる可能性があったとしても、競願者に対する免許が取り消されることにより確実に原告に免許が付与されるといえなければ、競願者に対する免許の取消しを求める利益は認められないとするのが判例である。

ウ. 国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合、原告は、訴状に処分又は裁決をした行政庁を記載するものとされている。他方、被告である国又は公共団体は、遅滞なく裁判所に対して処分又は裁決をした行政庁を明らかにしなければならないとされている。

エ. 交通反則通告制度における反則金の納付の通告は、当該通告があっても、これにより通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務が生ずるわけではなく、ただその者が任意にその反則金を納付したときは公訴が提起されないというにとどまることなどを理由に、抗告訴訟の対象とならないとするのが判例である。

オ. 取消訴訟は、処分又は裁決のあったことを知った日から3か月を経過したときは提起することができないとされる主観的出訴期間と、処分又は裁決があった日から1年を経過したときは提起することができないとされる客観的出訴期間とがある。ただし、主観的出訴期間については、正当な理由があるときは、この限りでないとされている。

1. イオ
2. ウエ
3. アイエ
4. アエオ
5. イウオ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 ア ですが
知識としてなくても、これが妥当だとすると「非常にめんどくさい」「非合理的だ」と感じるのではないでしょうか。記述 ア は誤りです。

行政事件訴訟法第12条によれば、「取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所 又は 処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する」とあります。B の在住している徳島市の裁判所に出訴できます。

記述 イ ですが
12 チャンネル事件の判例をふまえると、「取消しにより、原告に免許が付与されることもありえるなら、訴えの利益は認められ、取消訴訟を提起できる」と考えられます。記述 ウ は誤りです。

記述 ウ は妥当です。
行政事件訴訟法第11条の4です。

記述 エ は妥当です。
反則金納付通告の処分性は否定されており、抗告訴訟の対象となりません。

記述 オ ですが
行政事件訴訟法第14条によれば、「取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」です。「3ヶ月」ではありません。客観的出訴期間の1年間は妥当です。また、共に正当な理由があれば、この限りではありません。記述 オ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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