公務員試験 H25年 国家専門職(食品衛生監視員) No.4毒性学Ⅱ(1)(2)解説

 問 題     

Ⅱ 食品中の残留農薬の基準値の設定方法に関する次の文章を読み以下の問いに答えよ。ただし ppm は百万分率とする。

「食品中の残留農薬の基準値は、各種動物試験の結果を踏まえ ADI を求め、残留基準を設定した場合に推定される暴露量が ADI を超えることがないように設定される。

暴露量を求めるには、基準値を設定しようとする農産物ごとに、設定しようとする基準値とその農産物の日当たりの摂取量を掛け合わせ、これを基準を設定しようとする全ての農産物について求め、それらを合計することにより推定する。」

⑴ ADIについて 3 行程度で説明せよ。

⑵ ADI = 0.1 mg/kg/day と算出された農薬Aについて上記の方法に基づき農産物㋐、㋑における基準値を設定する場合基準値の組合せとして妥当なものを①〜④の中から一つ選べ。ただし体重50 kgのヒトの 1 日当たりの㋐、㋑の摂取量はそれぞれ200 g、400 gであり㋐、㋑以外の農産物には基準値を設定しないものとする。

農産物㋐ 農産物㋑
① 3ppm 24 ppm
② 6ppm 12 ppm
③ 12 ppm 6 ppm
④ 24ppm 3 ppm

 

 

 

 

 

 解 説     

(1) 
ADI とは acceptable daily intake の略です。一日許容摂取量と呼ばれます。生涯にわたって毎日摂取したとしても影響が出ないと考えられる量です。動物実験によりわかる NOAEL を種の違いを考慮した安全係数(100 がよく用いられます。)で割って算出します。

(2)
答えは ③ しかありえません。

㋐、㋑の摂取量が 200g,400g です。比で言うと ①:②です。これにそれぞれの ppm かけて足すのだからそれぞれの選択肢を正解と仮定すると、単位などは全く考えず計算しても大小関係はわかります。

3×1+24×2  = 51
6×1+12×2 = 30
12×1+6×2 = 24
24×1+3×2 = 30 となります。

従って、③以外の選択肢がもし正解なら、③はもっと少ない値なので、③も正しくなります。しかし、本問は「一つ選べ」なので、③です。

ちなみに、1ppm = 1/100万 なので、③ を正解と仮定すると、4800/1000000 g = 4.8mg となります。体重 50kg のヒトであれば 5mg/day なので、確かに(ぎりぎりで)OKです。

コメント