公務員試験 H25年 国家一般職(化学) No.19解説

 問 題     

固体酸に関する次の記述の ㋐, ㋑, ㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「固体状態で、その表面が水素イオンを与える性質あるいは ㋐ を受け取る性質を示す物質は固体酸と呼ばれ、γ -アルミナはその例の一つである。γ -アルミナを 100 ℃から 150 ℃で熱すると水が脱離する。

この表面には OH 基が残っており弱いブレンステッド ㋑ として働く。続けて500 ℃で熱すると、OH 基が縮合して水が更に脱離する。これを冷却し、ピリジンと作用させると Al3+ーNC5H5㋒ 酸塩基相互作用に由来する 1465 cm-1 付近の吸収をもつ赤外スペクトルが観測される。」
 
㋐ ㋑ ㋒

  1. 電子対 酸 ルイス
  2. 電子対 塩基 ルイス
  3. 電子対 塩基 ブレンステッド
  4. 正孔 酸 ブレンステッド
  5. 正孔 塩基 ブレンステッド

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

ルイスによる酸・塩基の定義を思い出すと
酸・・・電子対を受け取る
塩基・・・電子対を与える です。よって ㋐ は電子対 です。

ブレンステッドによる酸・塩基の定義思い出すと
酸・・・H+ を相手に与える
塩基・・・H+ を相手から受け取る です。「表面に OH基が残っている」ということなので「表面ーOーH・・・相手」 という弱い結合を作るということです。

これは H+を与えている といえるので ㋑ は酸です。

以上より、正解は 1 です。

以下は雑感です。
最後にさらっと書いていますが「ピリジンとの作用が赤外スペクトル吸収で判断できる」 ということは、「『固体』の表面の 酸性度」が IR 的な、つまり赤外線をピャーっと当てて吸収測定できればわかっちゃう ということです。

酸塩基 の原点といえば、多くの人にとっては「中和滴定」であり、無意識に「酸塩基」と「液体」がリンクしているのではないでしょうか。そもそも「固体」に対しての酸塩基の概念 も面白い上に、実際の測定は分光的手法でさらっとわかっちゃう!→何かを「測定」しなければいけない 場合に、化学専攻であれば「既存の分光的手法に活路は無いか?」という視点を提供しうる という点は非常に強みではないかといったことを考えるきっかけとなった内容でした!雑感 終わり。

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