問 題
固体酸に関する次の記述の ㋐, ㋑, ㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。
「固体状態で、その表面が水素イオンを与える性質あるいは ㋐ を受け取る性質を示す物質は固体酸と呼ばれ、γ -アルミナはその例の一つである。γ -アルミナを 100 ℃から 150 ℃で熱すると水が脱離する。
この表面には OH 基が残っており弱いブレンステッド ㋑ として働く。続けて500 ℃で熱すると、OH 基が縮合して水が更に脱離する。これを冷却し、ピリジンと作用させると Al3+ーNC5H5 の ㋒ 酸塩基相互作用に由来する 1465 cm-1 付近の吸収をもつ赤外スペクトルが観測される。」
㋐ ㋑ ㋒
- 電子対 酸 ルイス
- 電子対 塩基 ルイス
- 電子対 塩基 ブレンステッド
- 正孔 酸 ブレンステッド
- 正孔 塩基 ブレンステッド
解 説
ルイスによる酸・塩基の定義を思い出すと
酸・・・電子対を受け取る
塩基・・・電子対を与える です。よって ㋐ は電子対 です。
ブレンステッドによる酸・塩基の定義を思い出すと
酸・・・H+ を相手に与える
塩基・・・H+ を相手から受け取る です。「表面に OH基が残っている」ということなので「表面ーOーH・・・相手」 という弱い結合を作るということです。
これは H+を与えている といえるので ㋑ は酸です。
以上より、正解は 1 です。
以下は雑感です。
最後にさらっと書いていますが「ピリジンとの作用が赤外スペクトル吸収で判断できる」 ということは、「『固体』の表面の 酸性度」が IR 的な、つまり赤外線をピャーっと当てて吸収測定できればわかっちゃう ということです。
酸塩基 の原点といえば、多くの人にとっては「中和滴定」であり、無意識に「酸塩基」と「液体」がリンクしているのではないでしょうか。そもそも「固体」に対しての酸塩基の概念 も面白い上に、実際の測定は分光的手法でさらっとわかっちゃう!→何かを「測定」しなければいけない 場合に、化学専攻であれば「既存の分光的手法に活路は無いか?」という視点を提供しうる という点は非常に強みではないか、といったことを考えるきっかけとなった内容でした!雑感 終わり。
コメント