公務員試験 H25年 国家一般職(教養) No.37解説

 問 題     

近代の西洋思想に関する記述A、B、Cに該当する思想家の組合せとして最も妥当なのはどれか。

A:歴史を、絶対精神が人間の自由な意識を媒介として自己の本質である自由を実現していく過程であると考え、「世界史は自由の意識の進歩である」と説いた。また、自由や道徳の問題を、個人の内面の主観的なあり方にとどまらず、現実社会の客観的な法や制度にあらわれる、人倫の問題としてとらえた。

B:善悪の基準を行為の功利性におき、総計して最も多くの人々に最も大きな幸福をもたらす行為が最善の行為であると考え、「最大多数の最大幸福」の実現こそ、道徳と立法の原理であると説いた。また、快楽を七つの基準を用いて量的に計算するという単純化によって、私益と公益とを調和させようとした。

C:知性を、行動によって環境との関係を調整しながら生きる人間の、環境への適応を可能にする道具ととらえる道具主義を説き、プラグマティズムを大成したとされる。また、高度に組織化された産業社会では自由放任は無力であるとして、社会化された集合的個人主義として、民主主義を確立しようとした。

  •   A      B      C
  1. オーウェン  J.S.ミル   デューイ
  2. オーウェン  ベンサム   フーコー
  3. ヘーゲル   J.S.ミル   デューイ
  4. ヘーゲル   J.S.ミル   フーコー
  5. ヘーゲル   ベンサム   デューイ

 

 

 

 

 

正解 (5)

記述 A ですが「世界史は自由の意識の進歩」とくればヘーゲルです。『歴史哲学』で述べています。ヘーゲルといえば弁証法も有名です。「進歩史観」の代表的人物です。

記述 B ですが、功利主義といえば、ベンサムかミルです。量的功利主義はベンサムです。7つの基準は、強度、持続性、確実性、遠近性、多産性、純粋性、適用範囲です。

以上より、Aがヘーゲル、Bがベンサムなので正解は 5 です。

ちなみに、C のデューイについては、道具主義プラグマティズムがキーワードです。

コメント