公務員試験 H24年 国家専門職(食品衛生監視員) No.1分析化学Ⅱ(3)解説

 問 題     

  1. 試験溶液調製法

1) 抽出
② 果実野菜ハーブ茶及びホップの場合、果実野菜及びハーブの場合は試料20.0g を量り採る。茶及びホップの場合は、試料5.00g に水20mL を加え15分間放置する。これにアセトニトリル50mL を加えホモジナイズした後吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトニトリル20mL を加えホモジナイズした後吸引ろ過する。得られたろ液を合わせアセトニトリルを加えて正確に100mL とする。

㋐抽出液20mL を採り、塩化ナトリウム10g 及び0.5mol/Lリン酸緩衝液(pH 7.0)20mL を加え振とうする。静置した後分離した水層を捨てる。アセトニトリル層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40°C以下で濃縮し溶媒を除去する。残留物に、アセトニトリル及びトルエン(3:1)混液 2mL を加えて溶かす。

2) 精製
グラファイトカーボン/アミノプロピルシリル化シリカゲル積層ミニカラム(500mg/500mg)に、アセトニトリル及びトルエン(3:1)混液 10 mL を注入し流出液は捨てる。このカラムに 1)で得られた溶液を注入した後、アセトニトリル及びトルエン(3:1)混液 20mL を注入し全溶出液を 40℃ 以下で 1mL 以下に濃縮する。

これにアセトン10mLを加えて、40℃ 以下で 1mL 以下に濃縮し、再度アセトン5mL を加えて濃縮し溶媒を除去する。残留物をアセトン及び n – ヘキサン(1:1)混液に溶かして正確に1mL としたものを、試験溶液とする。

⑶ 果実を用いて試験溶液を調製したとすると、下線部 イ は試料 20.0g のうち何 g から調製したことになるか。途中経過も含めて記せ。

 

 

 

 

 

 解 説     

「(1)抽出」の前半部分で、アセトニトリル加えてはホモジナイズ→吸引ろ過 を繰り返して抽出し、アセトニトリルを加えて正確に 100mL にしてからそのうち 20mL を採りだしていますこれにより、果実 20.0g 分から、4.0g 分に減っています。以降は抽出をさらに行っているだけで、果実 4.0g 分であることに変化はありません。

(1)の最後の段階で、アセトニトリル及びトルエン(3:1)混液 「2mL」中に果実 4.0g 中の有機系の物質が抽出されています

(2)の精製では、まずカラムに展開溶媒を流しています。次に(1)で抽出した試料溶液を注入してから、展開溶媒を流し、全溶液を回収して、濃縮→アセトン加えて濃縮を繰り返しています。この段階でもひたすら精製しているだけなので、果実 4.0g 分であることに変化はありません。

そして最後、残留物に、アセトン及び n – ヘキサン(1:1)混液に溶かして、正確に1mL としたものの中に果実 4.0g 分に含まれる有機系の成分が精製されているわけです。

以上より、4.0g 分と考えられます。

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