公務員試験 H24年 国家専門職(教養) No.35解説

 問 題     

ヨーロッパ各国における15世紀~18世紀の情勢に関する記述として最も妥当なのはどれか。

  1. 英国ではチャールズ2世がトーリー党のクロムウェルを首相に登用し審査法や人身保護法を制定して絶対王政の復活を図ったが「代表なくして課税なし」を主張するウィッグ党のウォルポールがピューリタン革命を起こして権利の章典を発布した結果立憲君主制が確立した。
  2. フランスではルイ14世が内乱(宗教戦争)を終結させるため「王は君臨すれども統治せず」とするナントの勅令を発布し三部会による共和政を導入した。またコルベールを宰相に登用し農業を国の基本とする重農主義政策をとって東インド会社を廃止した。

  3. プロイセンではフリードリヒ2世が宗教寛容令を出し重商主義政策によって産業を育成したほかヴォルテールらの啓蒙思想家を宮廷に招き「君主は国家第一の下僕」と称した。また,オーストリア継承戦争七年戦争を戦い抜きプロイセンはヨーロッパの強国となった。

  4. ロシアではモスクワ大公国のピョートル1世が農奴解放令を発して国力を高めるとポーランド分割に参加して領地を拡大した。さらにオスマン帝国を滅ぼすなどその版図を一気に拡げ「太陽の沈まぬ国」と呼ばれるロシア帝国を成立させ自らをツァーリと称した。

  5. オランダではオラニエ公ウィレムの指揮の下レパントの海戦でスペインの無敵艦隊を破り,その講和会議で独立を要求したが列強諸国が「会議は踊るされど進まず」と評されるほどに強硬に反対したためウェストファリア条約で独立が認められたのは南部10州だけにとどまった。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
審査法などは、カトリックの扱いで対立した議会が制定したものです。また、ピューリタン革命 by クロムウェル は、チャールズ1 世の専制政治への反発を背景としておこされたものです。立憲君主制の成立、権利の章典発布へとつながる革命は 1689 年の名誉革命です。これにより、チャールズ2世が退位しました。

選択肢 2 ですが
ルイ 14 世は、ナントの勅令を「廃止」しました。また、この勅令はプロテスタントの信仰を認めたものです。また、東インド会社は、コルベールにより「再建」されました。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 3 は、妥当な記述です。
プロイセン王国(現ドイツ北部付近)に関する記述です。

選択肢 4 ですが
農奴解放令は1861年で、アレクサンドル 2 世による、近代化改革の一環です。また、「太陽の沈まぬ国」はスペインのことです。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
レパントの海戦は、スペイン・ヴェネツィア・ローマ教皇軍VSトルコのオスマン海軍です。また、スペインの無敵艦隊が敗れたのは、イギリス海軍に対してです。また、「会議は踊るされど進まず」と評されたのは、ウィーン会議(1814)です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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