公務員試験 H24年 国家一般職(化学) No.34解説

 問 題     

次の化合物 ㋐ ㋑ ㋒ のうちから、常温におけるエノール形の割合がケト形よりも多いもののみを全て選び出しているのはどれか。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

㋐ですが
エノール型の構造に注目すると単純なビニルアルコールです。ビニルアルコールは原則として不安定です。さらにケト型の構造はアセトンです。有機実験でも用いることから常温で安定と考えられます。以上より、㋐はケト型優先と判断できるのではないでしょうか。よって正解は 4or5 です。

一方、化合物㋒に注目すると
2つのカルボニル基に対して α 位である H が存在します。

カルボニル基を有する化合物において α 位の H は抜けやすくなっているのですが、2つのカルボニル基に対して α 位である H はすごく抜けやすそうなので、ケト形が相対的に不安定ではないかと考えられます。

さらに、この H が抜けた構造であるエノール形の構造に注目すると、共鳴構造をとることで負電荷がうまく分子全体に広がっており、他の構造と比較してエノール形が安定であると考えることができます。従って、㋒ はエノール型の割合が多くても妥当ではないかと考えられます。

以上より、正解は 5 です。

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