公務員試験 H24年 国家一般職(化学) No.19解説

 問 題     

リポソームに関する次の記述の ㋐~㋓ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「図Ⅰで表される両親媒性分子を水中で懸濁すると、内部に水相をもつ図Ⅱのような閉鎖小胞(リポソーム)が形成された。このとき図Ⅱ中の四角で囲った部分を拡大すると、両親媒性分子は図㋐のように配列している。

リポソームの膜に対して ㋑ は透過しやすいが、㋒ は透過しにくく、リポソームの外側のイオン濃度が十分に高くなると、リポソームは ㋓ する。」

 ㋐  ㋑  ㋒  ㋓

  1. Ⅲ 水 イオン 膨張
  2. Ⅲ イオン 水 収縮
  3. Ⅳ 水 イオン 膨張
  4. Ⅳ 水 イオン 収縮
  5. Ⅳ イオン 水 膨張

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

リポソームとは、細胞膜の脂質二重膜を模した人工膜です。よって、脂質二重膜です。脂質二重膜は、リン脂質のような疎水基、親水基を両方持つ両親媒性分子である脂質が「疎水基同士を内側に向け」、二重に重合することで構成されます。よって図Ⅳが適切です。正解は 3 ~ 5 です。

また、細胞膜類似であるという点から「イオンが通りにくい」 と判断できます。よって正解は 3 or 4 です。

最後に、リポソーム外側のイオン濃度が高くなると、細胞膜、つまり半透膜により区切られた両面においてイオン濃度差ができます。すると、濃度を均一にしようと浸透圧が生じて「水が薄い方から濃い方へ」移動します。つまり、リポソーム「内側から外側」へ水の移動がおきるため、リポソームは収縮します

以上より、正解は 4 です。

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